企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【スキル】交渉力

先日、ある企業との間で取引基本契約の契約解除に関する条項で交渉となった。相手方(X)の原案によると、
商品の値上げ等で双方に折り合いがつかない場合には、Xは本基本契約を解除できる。
継続的契約の解消については、様々な判例が出されているが、それらを要約すると、「継続的基本契約は、やむをえない事由を除いて安易に解除されるべきではない。ここで「やむを得ない事由」とは、重大な債務不履行・信頼関係破壊・信用不安などを指す。」とされている。 これらを根拠に相手方と交渉を行っていたが、なかなか原案の変更に応じてくれない。私も一瞬折れそうになって、受諾しようかと弱気になったが、それでは、企業法務のプロとして失格と思い直し、どのように交渉するべきかと考えあぐねた次第である。ここで、相手方の契約書を俯瞰すると、当社に対して品質管理変更時の事前通知義務・仕様変更時の事前通知義務など決して短くない通知義務が課されていた。そこで、これを交渉材料に使用したのである。具体的には、
貴案には、当社に対する決して軽くはない事前通知義務が課せられています。当該要請には無論従いますが、契約の公平性という観点からは争点となっている条項は問題がないでしょうか。すなわち、値上げ交渉不成立→ただちに基本契約解除ではなく、恐れ入りますが、当社への事前通知を行ってからにして頂けないでしょうか。
と主張した。これで相手方も受諾し、覚書による契約を行うことになった。なんでも先方の担当者によると、今まで契約締結した会社はほとんど契約書の修正を要求したことがなかったとの事であった。相手方は東証一部上場企業であり、おそらく5~10名前後の法務部員がいると思われるが、このような会社相手に交渉をうまくまとめさせたのは、私にとっていい自信になった。さらに、契約交渉はあきらめてはいけないといういい教訓になったのである。
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