企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【契約審査】付属覚書は必ず原契約書と同時に締結するべし/失敗の教訓より

今回は、私が以前に犯したあるミスをご紹介したい。 1.やむを得ず応諾 ある会社の取引基本契約書の契約審査を行ったのだが、当然のごとく、自社に不利益な条項があったため、当該箇所を変更した付属覚書を作成した。営業担当者を通じて相手方に本覚書を提示すると、「覚書は後日に締結したい。今は社内事情の都合上、先に取引基本契約書を締結してもらえないだろうか」との回答があった。当然、私は「取引基本契約書を先に締結してしまうと、相手方にとって不利益な覚書の検討などまともにしてもらえない可能性があります」と主張して相手方の提案に反対したのだが、相手方の営業担当者はあまりにもせっぱつまった様子で「期限までに本社に締結済みの契約書を提出しなければならない」と主張し、自社の営業担当者もそれに追随し始めたので、やむを得ず「後付けで覚書を締結してもらえることで間違いありませんよね?」と何度も念押しして相手方の取引基本契約書の締結を行なうものとした。 2.見事にしてやられました ところが、その後覚書を提示しても相手方の回答はなしのつぶてである。何度か催促したのだが、「現在検討中です」との回答をもらうばかり。私としては「してやられた!」の一言である。ものの見事に嵌められてしまった。相手方からはおそらく自社覚書に関する明確な回答は来ることはないだろう。果たして相手方(ちなみに歴とした東証一部上場企業)は、最初から悪意だったのか、途中から面倒になって心変わりしたのか定かではないが、私に落ち度があったことは事実である。 3.今回の教訓 今回のケースで学んだ教訓が「相手方より契約書を提示された場合でそのままの案では締結することができないときは、必ず自社作成覚書と同時に締結することによってリスク対応を計らなければならない」というものだ。私は他者を性悪説で考えるタイプであり、以前から注意していたのだが、今回はあまりにも切羽詰った様子で依頼されたので、つい仏心を出してしまった。そして、その結果がこれである。これを教訓にして、NOと言うべきときは、はっきりとNOと言っていきたい。 「人気ブログランキング」参加中です!1クリックお願いします! にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 戦うサラリーマンへ
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