企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【書評】「ブラック企業、世にはばかる」蟹沢孝夫(光文社)

ブラック企業、世にはばかる (光文社新書)
ブラック企業、世にはばかる (光文社新書)蟹沢 孝夫

おすすめ平均
stars自らブラック企業に勤務していて自虐に浸りたい方、どうぞ(それ以外の人にはあまり勧められません)
stars某有名私立大学大学院を出た人が読む本
starsイマイチ
starsブラック職場の実態とそれがどれだけ広がっているかがよくわかる
starsいったん生じた格差は時間とともに広がる構造がわかる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
1.購読対象  ・就職活動中の大学生の方  ・ブラック企業に関心がある方 2.内容 プロローグ あなたの隣のブラック職場 第1章 <タイプ1 肉食系ブラック職場>「新卒使い捨て」業界の現実 第2章 <タイプ2 草食系ブラック職場> 成長のチャンスを奪われる若者たち 第3章 <タイプ3 グレーカラー職場> 大手優良企業のなかの“隠れブラック” 第4章 勝ち組大手企業は「加害者」だ 第5章 新卒採用中心主義にメスを 第6章 「転職35歳限界説」が日本をダメにする エピローグ 私たちは変われるのか、あるいはなぜ変われないのか? 3.感想 本屋でたまたま見かけてタイトルだけで購入してしまったのが本書。以前の記事で取り上げたように、私も過去に勤務していた特許事務所がブラック企業(っぽい雰囲気の職場)だったので、ついつい読み入ってしまった。著者は大手企業から中小人材紹介会社に転職し、現在はキャリアコンサルタントとして活躍している人物で、自らの経験を基に日本の労働市場について様々な問題提起を行っている。 本書では、ブラック企業を「法令遵守、倫理、経済的合理性などの様々な面からみて問題をかかえており、働き続けるのはとんでもない会社」と定義した上で、ブラック企業の現状、仕組み、発生原因について様々な角度からの解説が行われている。私にとって新鮮な記述が以下のくだりである。
ブラック企業の多くは、もはや現代の経済社会の歯車の一部として必要不可欠な存在である。すなわち、私たちの豊かで快適な生活を維持するためには、相当の犠牲を払ってくれる彼らの存在が欠かせない。
私たちは、「ブラック企業」と聞くと、どうしても拒否反応を示してしまうが、ブラック企業が我々消費者に安価で一定レベルのサービスを提供してくれるからこそ、我々は必要かつ十分な社会生活を送ることができるともいえる。従って、ブラック企業にも存在価値はあるといえばあるのだ。もっとも、誰しもブラック企業で働きたくないことは本音である。このような矛盾をはらみつつ本書はブラック企業の様々な側面についてあぶりだしていく。そして、ブラック企業ブラック企業足らしめている真の加害者については、第4章でわかりやすく解説されているので、一度目を通してみてほしい。 そして、エピローグにおける「ブラック企業でのつらい経験がその人の人生に雑草や肉食獣のような強さを与えるとしたら、大手優良企業で純粋培養された人より強いかもしれない」という言葉に経験者である私は思わず苦笑しつつ、うなずいてしまった。新卒入社から定年退職までずうっとブラック企業に在籍することは不幸としかいいようがないが、若いうちに一度ブラック企業において働くことはある意味非常に良い(そして大変貴重な)経験になる。なぜならば、過酷な職場環境で働くことは、①ストレス耐性が鍛えられる、②過去の過酷な経験と比較することによって現状をやすやすと乗り越えることができる、という様々なメリットがあるからだ。 結局のところ、著者はブラック企業を含めて新卒採用中心主義に凝り固まり、数多くの弊害を抱える日本の労働市場に対して、「中途採用および解雇のハードルを下げて、雇用の流動化をドラスティックに進めるべき」と主張を投げかけている。この主張は、「若者3部作シリーズ」城繁幸氏のそれとかなり近いものがある。この意見については私も同感だが、おそらくこの問題は私たちが現役世代の間は解決しないのではないだろうかとも思う。正直言って5年、10年というスパンでは現状はおそらく変わらないのではないかという気がしてならない。 「人気ブログランキング」参加中です!1クリックお願いします! にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 戦うサラリーマンへ
にほんブログ村