企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【資格】司法書士として成功するために必要なことは?/元司法書士事務所勤務者としての補足見解

1.司法書士として成功するためには何が必要か? 先日なかなか面白いHPを発見したので、ご紹介したい。 http://www6.ocn.ne.jp/~igon/ 司法書士の受験者・実務者向けの情報を発信するサイトで、業界経験者ならば興味深いと思われる情報が紹介されている。なかでも私が思わず苦笑してしまったのが、「司法書士で大成功するための10箇条」である。 http://www6.ocn.ne.jp/~igon/shinjin-10soku.html 例えば、以下の4。
(4)平日の夜は料亭、麻雀、銀座へGO。毎週水曜は不動産会社とゴルフで決まり
司法書士事務所は仕事があってナンボだ。そのためには、良質のクライアントをガッチリとつかんで放さない事が最も大事。以前にも述べたが、司法書士が行うサービスは個人によって異なるというものでもなく、クライアントからすればどの事務所に依頼してもさほどたいした違いはない(ただし、手数料は自由化されているので、このあたりは事務所によって異なるのだが)。従って、司法書士としては、いかに良質のクライントを獲得するかが成功への第1歩と言っても過言ではない。そのために、クライアントのご機嫌をとるために、司法書士である本職が接待することは当たり前。特に不動産業界は火曜・水曜が休みの事が多いため、ゴルフや料亭をハシゴする等涙ぐましい努力を行って、クライアントとのパイプをより強固にしようとする。 私がかつて勤務していた司法書士事務所は、土地家屋調査士事務所と業務提携する形で某大手ハウスメーカーの下請事業者として登記業務全般を行っていた(ちなみに、以前の記事で述べた友人の司法書士土地家屋調査士の某氏とはここで知り合い、今でも交友関係が続いている)。すなわち、ハウスメーカーのお客様(=施主)が家を建築する場合、住宅ローンを利用することがほとんどである。そのため、①建物表示登記、②建物の所有権保存登記、③土地/建物の抵当権設定登記を行う必要がある。そのためハウスメーカーはお抱えの登記事務所を施主に紹介してこれらの登記業務を行わせるという仕組みになっているのだ。従って、某ハウスメーカーは事務所にとって大のお得意様であり、これを失うと事務所は傾いてしまう。そのため、ハウスメーカー司法書士事務所・土地家屋調査士事務所の合同で忘年会を行うなど、できる限り接点を持とうと涙ぐましい努力をしていた。特に、土地家屋調査士事務所の所長は、こまめにお中元を送ったり、新年会でハウスメーカーの偉いさんを接待するなど「営業活動」に積極的だったと記憶している。 また、私が勤めていた司法書士事務所の勤務を経て独立した某司法書士は、銀行から仕事(担保権設定や抹消登記)をもらうために、投資信託を購入したり、定額貯金を行ったりしていた。銀行から無言の圧力があったのか、それとも自分から率先してこのようなことを行っているのかは果たして定かではないのだが、クライアントから「先生、先生」と呼ばれているはずの法律家がクライアントに対してご機嫌取りを行わなくてはならないのも確かな現実である。 このように、「私は法律家である~!営業なんてやってられるか!」と事務所で踏ん反り返っても仕事が向こうからやってくるわけもない。そのような事務所はすぐに倒産だ。むしろ、どのような手段を使うにせよ、クライアンントに自分を売り込んでいく泥臭い営業も要求されるのが、この業界の真実の一面である。すなわち、「厳格な法律家」ではなく「フットワークの軽い商売人」であることが成功するための要因なのだ。このあたりは受験予備校では、全く教えてくれないので、もし、本ブロクの読者の方が司法書士を目指さしておられるならば、こういった現場のリアルについてもある程度勉強しておくことをお勧めしたい。
(6)過払いは打ち出の小槌。支店出しまくり司法書士法人で、目指せ!濡れ手に粟
現在は、ピークを過ぎたが、過払い返還請求の広告は今でも電車などをよく見かける。以前の記事で取り上げたアヴァンス法務事務所は正式に立件されたため、ほぼ解散状態だろうだが、2,3年前は本当に司法書士事務所による過払い金返還請求の広告の数量にはそら恐ろしいものがあった。これは要するに「借金まみれの人、大募集中!」という旨の広告なのだが、ピークは過ぎたものの、過払金請求は事務所にとってルーチンワークで金になる「おいしい商売」なのである。 しかし、過払い金返還請求に耐え切れなくなった武富士アイフルが法的整理に着手したように、債務者にとって過払い金の「取立て先」のパイが減少しつつあるのも事実…。司法書士にとって、「打ち出の小槌」の効果はそろそろ限界に近づきつつあるのが実状だと思われる。
(9)補助者は人に非ず。名刺は持たせず、名乗らせず。安くこき使い、使い捨てろ
「補助者」とは、一般の人には聞きなれない言葉かもしれない。これは司法書士事務所で働くスタッフのうち、司法書士の資格を持っていない一般職員のこという。正直なところ、私は非常に嫌いな言葉である。まるで社会人として半人前であるかのように見られているようで、この業界(行政書士でも社労士でもそうなのだが)の徒弟気質を表しているといえる。 一般的に司法書士事務所で働く補助者の待遇はそれほどいいとは言えない。給料もあまり良くなく、健康保険・厚生年金に加入していない事務所も多い。私の働いていた事務所もそうであった。従って、補助者として一生働くことは非常にリスクのあることで、可能な限り、試験に合格して、ノウハウを習得し、自分のクライアントを獲得して、独立することが望ましい。 話は戻るが、補助者のメイン業務は、登記申請書の作成と法務局・市役所・銀行周りなどだ。現在は郵送やオンラインでも登記申請できるのだが、10数年前は所管の法務局に実際に申請書を提出しなければならなかった。そのための書類の運搬要員がどうしても必要になるのだ。私もよく某ハウスメーカーの施主の登記申請のため、近畿一円の法務局や役所に行ったものである。個人的には電車の乗り換えにかなり詳しくなったので、今は良い経験をしたと思っている。 なお、事務所によっては、補助者を使い捨てにしているところもある。すなわち、完全に書類の運搬のみをさせ、他の業務をさせないというもの。これは、ほとんど、スーツを着た佐川急便に近いかもしれない(笑)。従って、このような事務所で働くとなかなか良い経験が積めないので、要注意。よく新聞の求人欄でしょっちゅう募集をかけている事務所は、人の出入りが激しいので、その可能性が高い。 本HPには、他にも面白い情報が記載されているので、興味を持たれた方は確認してみてほしい。 2.補足 最後に私がなぜこのHPを発見したのか、その経緯を説明したい。私が利用しているSeesaaブログの機能として、訪問者がどのようなキーワードで検索して私のブログを訪問したのか算出できる機能がある(他にもどの時間帯に何人訪問したか、訪問者の使用しているOSやブラウザなどもわかる)。私は本機能をブログの記事執筆に際してかなり参考にしているのだが、先日それをチェックしていると、「司法書士業界 いやになった」というキーワードで検索している方がおられた。私もつい興味を持って全く同じキーワードでGoogleで検索するとこのHPにたどり着いたという次第…。 以前の記事でも述べたとおり、私も上記のような「現実」を知って司法書士業界がいやになったクチだ。ただ、人生経験として良い経験をしたと思う。これは今の企業法務担当者の仕事にもある意味反映されていると信じたい。私がこの業界を離れて10年ほどになるが、よい機会なので、本ブログで私が経験した司法書士事務所における仕事内容については、より詳細に触れていきたい。
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