たまたま近所のブックオフで発見して、タイトルに興味を持って購入した本がこちら。
プロフィールによると、著者は元来、国家公務員であったが、某人材紹介会社の人材コンサルタントに転身したという異色の経歴。 本書では、まだまだ世間から誤解されることも多い人材紹介会社について、その内情がつぶさに説明されている。特に第5章において、求職者が人材紹介会社を利用するときに注意するべきポイントを以下のとおり指摘しており、「なるほど」と思わされた次第。
- 人材紹介会社がもつ機能と提供してくれるサービスを十分理解すること
- 自分が人材紹介会社に求める機能・サービスを明確にすること
- 自分が求める機能・サービスを提供してくれる人材紹介会社を探すこと
特に、私にとって印象的だったのが、著者が人材紹介業とは「空振り」が数多く発生する「徒労ビジネス」であると称している点。すなわち、人材紹介業としての売上げは、コンサルタント自身ではなく応募者自身の努力や結果に依存するため、そのビジネスモデルはどうしても他力本願的となってしまう。そのため、どんなに応募者のために手を尽くしたとしても、選考が失敗すると、これまでの努力が水の泡となってしまう。また、本人が他社を経由して転職に成功したり、転職活動そのものを断念した場合、人材紹介会社には1円の手数料も入ってこない。
そのようなことが相次ぐとコンサルタントとしてモチベーションがおおいに下がるのだという。 また、勤務環境もそれなりに過酷だ。ハローワークと違って、応募者は在職しているケースがほとんどのため、平日夜や土日に面談を行うなど自分の時間をある程度犠牲にせざるを得ない。
私も過去に人材紹介会社のコンサルタントと打ち合わせをしたのは、ほとんど土曜日であった。多い日は3社を回って、それぞれのコンサルタントと打ち合わせを行ったこともある。 なお、「現在(=本書の執筆時点)は好景気の恩恵を受けているが、不景気になると中途採用は激減するため、人材紹介会社の売上は激減する。大手はともかく、中小は生き残れないところも出てくるはず」と問題提起を行っている。本書が発刊されたのは2007年7月27日。果たして、その1年後にリーマンショックが発生することとなり、その予言は的中してしまった。
いずれにせよ、ビジネスパーソンが転職活動するにあたり、人材紹介会社の活用は必須。従って、今後転職活動を行う予定のある方は、人材紹介会社の現状と手のうちを知るためにも、本書を一読しておいて損はない。