企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【書評】「終わった人」内館牧子(講談社)/仕事一筋のビジネスパーソンがたどり着いた終着点とは・・・?

先日、「終わった人」という映画をレンタルで鑑賞した。
2018年6月に公開された作品で、定年退職を迎えた元エリート銀行員の悲喜劇を描いている。仕事一筋であった主人公は63歳の定年退職を迎えて、手持ち無沙汰な時間を過ごすことに。しかし、ぬるま湯のような日々に耐え切れなくなった主人公は、なんとかして第一線に返り咲きたいと願うようになる。そして、とあるきっかけにIT企業の顧問を経て社長に就任。そして、かつての現役時代を取り戻すかのように、充実した日々を送るが・・・。
 
会社員にとって定年は避けて通れない道だ。なんとなく将来の自分の姿が垣間見えるような気がして興味深く鑑賞した。鑑賞後に原作小説にも興味がわいて一気読みした。小説と映画を比べると、細かい相違点はあるが、大筋は同じ。最終的には、主人公が挑戦した社長業は失敗に終わってしまうが、最後の最後では希望を感じさせる結末となっている。もっとも、読者からすると「だから言わんこっちゃない」と思わないでもないが・・・。
 
とはいえ、世の中のビジネスパーソン(特に男性)は、仕事中心のライフスタイルを送っている人が大半だろうし、主人公が定年後に直面した虚しさや焦燥心は決して他人事ではない。私が思うに、この作品のメッセージは、「年齢相応の立場をわきまえて、あるがまま(Let it be)を受け入れる」「あまりに仕事一辺倒だと、リタイア時の反動が大きいので、少しずつ仕事以外の『自分軸』を持つべき」ではないかと解釈している。現在、私自身は企業法務系ビジネスパーソンとして活躍(?)しているが、いずれは「終わった人」の一人になるのだ。従って、少しずつ仕事以外の自分軸(山登り・歴史・城巡り・読書・アコースティックギター・ブログなど)にもチャレンジしている。

もっとも、これからの日本は少子高齢化が加速していくため、定年は65才、70才、75才・・・と延長されるのは明白。従って、本作の主人公のように「終わった人」になるのは、果たして何年後になることやら・・・。とりあえず、私のモットー(人生哲学)は「今後の人生の長期戦に備えて、細く長く仕事に従事する。ただし、どうせ長く仕事に従事するならば、楽しまないと損」というもの。ちなみに、これが個人企業のオーナー社長や司法書士・土地家屋調査士などの士業経営者は定年とは無縁で、本人が望む限り生涯現役を実現できるだろう(もっとも、それがエスカレートし過ぎて老害化するケースもたびたびあるが)。
 
いずれにせよ、本作は大半のビジネスパーソンに必ず待ち受けている定年後のリアルな姿を描いている。自分の将来のライフプランを考えるにあたり、参考になると思う。 
終わった人 (講談社文庫)

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終わった人 [DVD]

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