これまでに会社を退職する人から挨拶メールを受け取ったことが何度かあった。
Sabosan様既にご存じかも知れませんが、私は●月●日に円満退職いたします。●月●日より、下記の会社に転職となります。(中略)Sabosanには、仕事の関係で色々な難題を相談させて頂き、資料作成から判断から知恵を授かりまし た。仕事、懇親会他、様々なご無礼はお許しください。本当にありがとうこざいました。感謝しかありません。引き続き、業界的には同じですので、助けて頂く事もあると思いますので、 その節は宜しくお願い申し上げます。A
私にとってAさんは好感の持てる社内クライアントで、年齢は離れていたが、なんとなくウマが合って、よく冗談を言い合った人。それだけに、Aさんの退職は個人的には残念に思う。なお、Aさんとは2020年4月の緊急事態宣言からほとんど顔を合わせていなかった。にもかかわらず、Aさんは、退職者が最後に行う一斉送信の挨拶メールではなく、最後の最後でわざわざ私だけに対する感謝を込めた個別メールを送ってくれたわけで、これには大変感激した。(記念にするためEVERNOTEにも保管しておく)
これは、企業法務担当者である私が、これまで社内クライアントに提供し続けてきた法務サービスについて、Aさんから感謝されていた証だと思いたい。「企業法務担当者冥利につきる」とはこのことをいうのだろう。メールの最後にはAさんの新しい勤務先のメールアドレスも記入されていたので、新しいメールアドレスに「こちらこそ大変お世話になりました。何かあったらまた相談してください。会社は変われど、できる限りのことはさせて頂きます」というお礼メールを返信する。
ビジネスパーソンの場合、会社(社内&社外)における人間関係は、おおむね利害関係(損得勘定)中心のため、退職時の姿勢にはそれが露骨にあらわれるケースが多い。それだけに、今回のようなAさんの「去り際の美学」には人生のドラマとして心うたれるものがある・・・。
さて、(果たしていつになるかわからないが)遠い将来に私が自社を退職する際には今回のAさんのエピソードを思い出して、これを見習うことにしたい。