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【書評】「レイストリン戦記1&2 魂の剣」マーガレット・ワイス(KADOKAWA)/学生時代に愛読した外国産ファンタジー小説の外伝

1.35年後に第1巻の前日譚が登場

GWに以前に図書館で借りて積ん読状態の本を消化した。そのうちの2冊がこちらの小説で、昨年に発売されている。

 

<ドラゴンランス>というキーワードを聞いてピンときた人はファンタジー小説に相当詳しい人だと思う。ドラゴンランスは、テーブルトークRPGの草分け的存在であるAD&Dのシステムに基づいて創造されたファンタジー小説のシリーズで、1980年代にマーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンによって発表された作品。世界的にも大ヒットしており、数多くの本伝や外伝が発表されている。

私も学生時代の頃は、友人とテーブルトークRPG(D&D、ソードワールド等)をプレイしたことがあり、様々なファンタジー作品(小説・ゲーム・etc)にはどっぷり浸っていた時期がある。

kigyouhoumu.hatenadiary.com

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そんな頃、1987年に富士見書房からドラゴンランスシリーズの刊行が開始。たまたま立ち寄った本屋で1巻を購入した私は、その面白さにハマって、「ドラゴンランス戦記1~6」「ドラゴンランス伝説1~6」を完読。確かドラゴンランスの設定画集なども買った記憶がある。当時はカセットブックやテレビゲームが発売されていたぐらいなので、国内でも人気が相当高かったはず。

 

私にとってドラゴンランスの魅力は、個性的なキャラクターと壮大な世界観の二つ。欠点もそなえた人間臭いキャラクターが悩み、傷つきながら協力して最終的には目的を達成する。人間同士の戦争を軸として、神々も関与する壮大なストーリー。

 
富士見書房版は絶版となっていたが、2002年にアスキーから第1部と第2部が復刊されて、続いて第3部(セカンドジェネレーション)、第4部(夏の炎の竜)、第5部(魂の戦争)が発売された。私も第3部以降は図書館で借りて、全て読破している。その後2019年にKADOKAWAから合本版がkindle(全25巻分で40,000円という大ボリューム!)で発売されたので、購入済み。
 

2.大魔術師の若かりし頃を描く

今回のレイストリン戦記は、第1部の前日譚を描いたもので、主人公はレイストリン・マジェーレという魔術師。このキャラクターは、ドラゴンランス第1部で登場した時点では単なる脇役に過ぎなかったが、人気急上昇を受けて、第2部ではほとんど主役扱いとなっている。このレイストリンは双子の兄であるキャラモン・マジェーレに対して強烈なコンプレックスを抱きつつ、権力や魔法に強い執念を抱いている複雑で内向的な人物。また、周囲に対して冷笑混じりの皮肉屋である一方、弱い者に対して優しさと愛情を示す。このギャップが人気の一因。

第2部では強大な魔法を使いこなし、暗黒の女王タキシスにとって代わろうと戦いを挑む伝説的な大魔法使いであるレイストリンも本作に登場した時点では、まだ6歳。魔術師の私塾に通って魔法を学び始めるが、初級の呪文ですら苦労する姿が新鮮。また、本作後半ではタニスやスタームを初めとする第1部のキャラクターと旅をする場面があるが、後年の冷たい皮肉屋とは信じられないほど人間臭くて礼儀正しい態度を見せるなど意外な一面が垣間見える。
 
私は、ドラゴンランスシリーズで筆者のファンになったので、その後に発売された作品の大半にも目を通している。
今となっては、もはや著者の新作に目を通す機会はないだろうと考えていたので、今回の「出会い」には感謝したい。大人になって読んでみても面白い小説はやはり面白い。また、ドラゴンランスは国産ファンタジー小説の「ロードス島戦記」(水野良)にも大きな影響を及ぼしたと言われるほど。従って、ファンタジーファンには是非お勧めしたい小説なので、まずは図書館などで手にとってみては?