企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証プライム上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【企業法務】パナソニックの指定価格導入が業界に波紋!?/独占禁止法と再販売価格指定の禁止

今回は真面目な企業法務ネタ。
 
先日、東洋経済のニュースサイトで以下の記事を目にした。私はここ何年間も家電量販店で買い物していなかったので、全く初耳の話。
 
これはいわゆる独占禁止法における「再販売価格指定の禁止」が論点。例えば、メーカーA社が卸売業者(商社)B社に対して、商品を10,000円で販売したとする。すでに商品の所有権はA社からB社に移転しているため、B社が小売業者C社に当該商品を販売する場合、その金額をいくらにするかはB社の自由。仮にB社が商品を15,000円で販売して5,000円の利益を得てもいいし、商品を8,000円で販売して2,000円の赤字を出しても、それについてA社は何の口出しもできない。これが大原則。
 
          ➝商品           ➝商品
    A社            B社            C社
         10,000円←       15,000円 or  8,000円←         
        
 
この場合、A社が「ウチの商品を安売りされると商品イメージが悪化するので、必ず13,000円以上で販売して下さい。そうしないと、今度からB社にウチの商品を販売しません」と強制する行為は、「再販売価格指定の禁止」に該当し、独占禁止法に違反する。独占禁止法の目的は「公正かつ自由な経済競争の促進」にあり、特にメーカーが市場をコントロールしようとする動きはNG。
 
その詳細は、公正取引委員会が公表している「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」に細かく解説されており、メーカーや商社の企業法務担当者にとってはバイブルといっていい。私もこちらの指針は暗記するぐらい何度も目を通している。私も社内クライアントから独占禁止法に関する相談を受けるたびに、まず確認するのは、六法全書ではなくこちらの指針。
 
ただし、本指針では、再販売価格の指定に該当しない例外事由が二つ記載されている。
 
(7) なお,次のような場合であって,事業者の直接の取引先事業者が単なる取次ぎとして機能しており,実質的にみて当該事業者が販売していると認められる場合には,当該事業者が当該取引先事業者に対して価格を指示しても,通常,違法とはならない。
 
①委託販売の場合であって,受託者は,受託商品の保管,代金回収等についての善良な管理者としての注意義務の範囲を超えて商品が滅失・毀損した場合や商品が売れ残った場合の危険負担を負うことはないなど,当該取引が委託者の危険負担と計算において行われている場合
 
②メーカーと小売業者(又はユーザー)との間で直接価格について交渉し,納入価格が決定される取引において,卸売業者に対し,その価格で当該小売業者(又はユーザー)に納入するよう指示する場合であって,当該卸売業者が物流及び代金回収の責任を負い,その履行に対する手数料分を受け取ることとなっている場合など,実質的にみて当該メーカーが販売していると認められる場合

 

東洋経済の記事で言及されているのは、この例外規定となる。これまでメーカーは、商社の取引でリベートを支払ってもよいから、とにかく商品を売りさばいてもらう、という風潮が根強かったが、パナソニックは、品質保証責任や在庫リスクを負担してもいいから価格コントロールをしていくという戦略に切り替えたのだろうか。
 

 
そういえば、値引き交渉といえば、思い出すのが数十年前に私が初めて購入したNECのノートパソコンの話。大阪なんばの家電量販店を訪れて店員さんと価格交渉して1~2万円ほど安くしてもらったけれど、それでも最終的に30万円ぐらいした(今思えばスペック的にはたいしたことないのに)。
 
その当時は、Amazonや楽天といったECサイトはまだ存在せず、家電量販店で実際に商品を見た上で、店員と価格交渉する光景が日常茶飯事。かたや今やECサイトでの買い物が当たり前になり、立場が逆転。これも時代の移り変わりか・・・。