先日、ネットで興味深い記事を発見した。
この記事を要約すると、以下のとおり。
- 20代の半数がスキルアップのために1回転職を経験している。それは配属ガチャや上司ガチャなどの運・不運もあり、自分に合った職場探しのためでもある。
- 30代で自分の本当の居場所を見つけたビジネスパーソンは、管理職に登用されやがて幹部社員としてその会社に定着する傾向がみられる。
- 転職経験者の大半は、転職ブルーを一度は経験するが、それを無事に通過すれば転職耐性を獲得する。
確かに私の親世代は終身雇用が常識で、転職する人は異端というか少数派という位置づけだった。しかし、今や時代は大きく変わり、むしろ転職しないことが人生のリスクになりかねない時代が到来。私の周囲でも転職経験者が圧倒的に多く、その理由を聞いていると本当に様々。給料が安かったから・上司と性格が合わなかったから・仕事が面白くなかったから等々。
※人によって転職する理由は本当に様々。
私も20代で2回、30代で1回、40代で1回の転職を経験しており、現在5社目に勤務中。氷河期世代なので致し方ない面はあるが、自分でもこの回数は確かに多い方だと思う。もっとも、私の場合、転職する理由は「自分のやりたい仕事をやりたいから」で首尾一貫しており、ブレていない。言い換えると「自分が納得のいく人生を送りたいから」といったところ。つまるところ、私にとって転職とは人生設計の軌道修正のようなもので、やらずに済むならば良いにこしたことはないが、やるときは断固としてやり通す必要がある。
※私が転職したのはやりたい仕事を追求したいという一貫性によるもの。
せっかくなので、私が思う転職のメリットとデメリットについて以下のとおり触れてみたい。
<転職のメリット① スキルアップできる>
私は企業法務という転職に巡り合ったのは20代の後半の頃。たまたま以下の本を読んで初めて、企業法務という仕事を知ったのがきっかけ。
興味を抱いた私は、メーカーまたは商社の法務部を志望する転職活動を行ったが、未経験なので当然ながらうまくいくはずもない。しかし、たまたま合格したのが大阪市の北浜にある某証券会社の法務部。そこに入社してようやく私は企業法務担当者としてデビュー(?)を果たす。その会社では企業法務の基礎をある程度経験したが、さらにキャリアを深めるべく、メーカー機能のある専門商社(東証プライム)に転職。その法務審査部門に配属された私は、いわゆる一人法務として幅広い企業法務(契約書・法務相談・法務研修・社内規程等)のキャリアを形成し、一人前の企業法務担当者といえるまで成長し、自信を深めることができた。そして、企業法務だけではなく、与信管理も兼務することになり、決算書もスラスラ読めるようになったのは、非常に有意義な経験となった。そのおかげで私は「決算書を読みこなして企業分析ができる企業法務担当者」という二刀流のスキルを獲得する。それが巡り巡って現職では、非常に役にたっているのだから人生とは本当にわからない。「キャリアは偶発性によって作られる」というのは全くそのとおり。
<転職のメリット② 変化に強くなる>
転職とは、いわば学生時代の転校に等しく、これまで所属した共同体から離脱して新しい共同体に所属することになる。そのため、旧ルールはリセットして新しいルールに順応しなければならない。転職経験者なら共感してもらえると思うが、当人にとって負荷はかかるが、そのハードル(修羅場)を突破すると、人間的にも大きく成長できる。このような修羅場を何度か経験している人間は強い。特に現代のように変化が激しい時代(VUCA)になると、「人間力」や「変化対応能力」が求められるからだ。
<転職のメリット③ 視野が広がる>
私の場合、企業法務という職種は一貫しているが、転職するたびに業界や顧客層が全く異なる会社に転職。会社とは社会を構成する要素の一つであり、複数の会社で働くということはそれだけ社会を見つめる自分の視野が広がることに等しい。一方で、「会社の常識は社会の非常識」ということわざがあるように、その会社独自のヘンテコなルールに遭遇することもあったが・・。
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このように転職にはメリットがある一方で、もちろんデメリットも存在する。
<転職のデメリット① 社会的信用の低下>
冒頭で述べた発言と矛盾するかもしれないが、確かに転職はキャリアアップにつながる可能性はあるものの、極端に回数が多い場合、周囲には「こらえ性がない」とみなされるのも確か。特に私の場合は、世間的には多い方だろう。従って、転職というカードは乱発するべきではなく、あくまで最後の切り札であるべき。
<転職のデメリット② 退職金の減少>
日本企業(特に大企業)は、年功序列型がまだまだ多い。若いうちは給料は抑え目で、年齢と共に増加するののが一般的。その極めつけとして、定年退職時に多額の退職金が支給される。しかし、転職を行うと、勤続年数がリセットされるため、退職金の支給額が減ってしまう。私の場合、それは致し方ないが、新NISA等をフル活用して、将来の資産形成に励んでいるところ。
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<転職のデメリット③ 人間関係のリセット>
これはどうしようもないが、今まで所属した会社から別の会社に転職すると、上司・同僚・部下などの人間関係は白紙になる。そして、新しい会社で新しい人間関係を構築していく必要がある。これもなかなか大変だが、致し方ない。ただ、私の場合、企業法務担当者という職業柄いろいろな人と打ち合わせをしていたので、初対面でもそれなりにうまく人間関係を構築できたが・・・。
このように、転職にはメリットとデメリットの双方が確実に存在する。結局のところ、これらを承知の上でエイヤと決断するしかない。振り返ってみれば、冒頭に述べたとおり、私には4回の転職歴があるが、こうして振り返ってみると、なんだかんだ自分が望む理想的なキャリアを形成できたと思う。それもコツコツと専門書を読んで、実務経験を重ねることで、育ててきた専門性(スキル)に要所要所で助けてもらったおかげ。特に昨年の転職は転職エージェントのヘッドハンティングがきっかけだが、「芸は身を助ける」(=これまでの努力は決して無駄ではなかった)を本当に実感させられた。
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従って、このブログを読んでいる読者に対して、「どこへ行っても通用する」と言えるぐらい得意なことや専門性を何か一つ持つことをお勧めしたい。あとはそれをさらに究極レベルまで鍛え上げるか、隣接スキルまで手を広げることで自分をレアカード化させることができれば、さらに鬼に金棒だろう。