1.突然の退職劇
とある知人A氏が最近会社を辞めたという。事情を詳しく聞くと、どうやらある出来事をきっかけに上司と口喧嘩になって、話の流れで「それならもう辞めます!」と啖呵を切ってその日に会社を去った様子。衝動的かつ突発的な退職なので、おそらくAさんは次の勤務先を決めていないはず。Aさんはそれなりにいい御年齢だが、いったん無職になった身で就職活動はどうするのやら・・・。プッツン退職なので、当然ながら引継ぎも何もなく、現場は大混乱しているらしい。このエピソードを聞いて久しぶりに思い出したのが、前職の法務審査部門在籍時の同僚B氏。おおむね似たような状況で前職企業を突発的に退職している。もうかれこれ5年前ほど前の話。
ただ、Bさんの場合は、10日ぐらい引継ぎの時間を作って会社から去って行っただけまだマシかも。最終日は二人だけで野田阪神の居酒屋で送別会を行って、最後に別れたのは大阪駅だった。彼は今どうしているのだろう。
2.辞める時こそ、冷静に、したたかに、そして計算高くあれ
話を戻すと、転職歴が多い熟練ビジネスパーソン(?)である私がこれまでの転職で必ず守っていたことが一つある。それは、「必ず次の会社の内定を獲得してから現職を退職する」という点。会社を辞めて転職するという行為は、ビジネスパーソンにとって最後の選択肢に等しい。しかし、いろいろ問題があったとしても、ここで「すぐに辞めたい」という感情を優先させて後先構わず退職届を提出するのは下策中の下策だ。会社を辞めるときは、たとえどれだけ不満があったとしても、あくまで冷静に、したたかに、そして計算高く振舞わなければならない。なぜなら、転職活動を行う場合、無職だと買いたたかれる可能性もあるし、自分に心の余裕がなくなって「もう入れるならばどこでもいい」と自分を安売りする可能性があるからだ。
※バナナのたたき売りは構わないけれど、自分の安売りだけは絶対にNG
例えば、私の場合、昨年1月の正月休みに転職活動の計画を立案。それをある程度固めた上で、1月下旬から実際に転職活動をスタート。水面下で<転職エージェントに登録➝求人情報の検討→書類応募→面接>という手続を淡々と進めている。同時に絶対に自分が譲れない条件(会社規模・年収等)も決めておき、「この基準をクリアしない会社から内定をもらったとしても入社は辞退しよう。」と転職活動の延期・撤退を視野に入れつつ転職活動を行った。このように、合理的かつ冷静に行動していたためか、今年5月に倒産した会社に飛びついて応募することを回避している。くわばらくわばら。
その後幸いなことに、転職エージェントからヘッドハンティングを頂いて、比較的短期間で転職活動は終了。そして現在に至る。
転職とは良い意味でも悪い意味でも人生を大きく変化させる行為だが、ある程度の戦略(=慎重に、したたかに、計算高く、そして大胆に)を忘れてはならない。そして、冒頭に紹介した二人のように衝動的に辞めるのではなく、必ず次の会社を決めておくこと。これが非常に大事。今はスマホアプリやインターネットのおかげで在職しながらの転職活動は決して難しくないから。そして、内定を得たとしても、突然辞めるのではなく、引継ぎやお世話になった方々への挨拶は欠かしてはならない。これは社会人ならば当然の事で、私もそのあたりはきちんと対処している。
やや説教臭くなってしまったが、これは様々な苦労を経験し、ベテラン転職経験者かつ氷河期世代である私からのアドバイス。これから転職を考えている人はどうか参考にしてほしい。