現在ネット業界では、某団体が主催するパソコンの有償譲渡会が大きな話題となっている。経緯を簡単に説明すると以下のとおり。
- あるパソコン系Youtuberが9月7日に動画を公開。パソコンの有償譲渡会に潜入し、「このスペックのパソコンにしては販売価格が高すぎる。またCPUの正式な情報が開示されていない。一種の情報弱者向けのビジネスではないか?」という動画を公開。
- しかし、その後9月20日に本人が新しい動画を投稿。その動画内では神妙な顔をしたスーツ姿の本人が詳しい理由は述べずに9月7日に公開した動画を削除する旨を(随所で声を震わせながら)表明。おそらくその動画を公開されては困る団体が何かしらの圧力を加えたことを連想させる。
それをきっかけにネット界隈では一種の炎上騒動まで発展。さらに多くのYoutuberが取り上げる(実際に展示販売会に潜入する猛者まで登場)前代未聞の出来事となっている。
この有償譲渡会は全国各地で実施されており、私も過去にそのチラシを読んだことがある。確か地元の商工会議所の大会議室を使っていたように記憶している。ただし、当時は新しいパソコンを購入した直後で、興味はなかったので会場を訪れることはなかった。ちなみに、今回削除された動画以前に過去にプレジデントオンラインでも取り上げられたことがあったらしい。
ちなみに、冒頭の削除動画では、会場内のポップに「メモリ16GB」と表示されながら、実際に展示されているパソコンのプロパティを確認すると、実物は「メモリ8GB」だったという。通常のパソコンショップではありえない程の雑な販売手法だが、これって景品表示法違反(優良誤認表示)に該当しないだろうか?
別にこのケースに限らずいわゆる情報弱者(情弱)をターゲットにしたビジネスはいつの時代にも存在する。消費者側としては、カモにならないためにもまずは何事も疑う姿勢をもっておきたい。例えば、その商品の市場価格やスペックは本当に妥当なのか?ネットで販売した方が販管費が安くつくのに、なぜ人件費をかけてまで現地販売会というスタイルをとるのか?主催団体はどのような組織なのか?
リスク管理の専門家である私のモットーは「まずは何事も性悪説で考えよ。疑って、疑って疑いつくしてから相手を信じよ」というもの。私は、相手方の行動に疑問や違和感を抱いた場合、「相手はなぜコストを負担してまでこのような行動をとるのか?この行動によって相手はどのような利益を得るのか?」と相手方視点にたって物事を考えるようにしてる。おそらく企業法務担当者という職種上、<リスク・コスト・リターン>という利害計算で考える習性が染みついているからだろう。
いずれにせよ、この事例に深い闇のようなものを感じるのは私だけではないはず。今後国内では高齢化が急速に進むだろうし、これに似たような問題(=情報弱者向けビジネス)は増加するだろう。結局のところ、最終的には自分の身は自分で守るしかないということだろうか。