最近、桐野夏生の小説を読むことにハマっている私。これまでも「東京島」「燕は戻ってこない」「メタボラ」「夜の谷を行く」「ロンリネス」など新旧問わず様々な作品を読んできた。今回地元図書館で借りて一気読みしたのがこちらの上下二冊。
(あらすじ)1986年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。一人は短大卒の小島佳那(かな)、もう一人は高卒の伊東水矢子(みやこ)。貧しい家庭に生まれ育った二人は、それぞれ2年後に東京に出ていく夢を温めていた。野心を隠さず、なりふり構わずふるまう同期、望月昭平に見込まれた佳那は、ある出来事を契機に彼と結託し、マネーゲームの渦に身を投じていく。(Amazonより引用)
バブル全盛期を舞台に、証券会社で働く同期3人の男女が野心と上昇志向をもってのし上がっていくというストーリー。ちなみに、この著者の小説では登場人物の大半が不幸な結末を迎えるので、読後感はあまり良くはないが、それだけにリアリティがあるのが特徴。「この作者のことだし、たぶんアンハッピーエンドだろうな」と予想しながら読んでいたが、やはりそうだった(笑)。しかし、興味深かったのは当時のバブル景気ぶりが描写されていたシーン。なんせ、学生だった私はバブル景気というものを肌身では体験していない。ただ、クリーニング店を経営していた親からは当時は景気が良かった話を聞いたことがある。



残念ながら私が社会人になる頃には、バブルが崩壊して就職氷河期のまっただなか。もし、バブル景気を実際に体験していたら、また違った人生観を抱いて人格形成にも影響を及ぼしていたのだろうか?もっとも、氷河期世代で良かった点といえば、社会から甘やかされていない分、たくましく、しぶとく生き残るサバイバル能力を身に着けたこと。国も会社も頼れないことを本能的に実感しているため、頼れるのは己のみ。従って、スキルや処世術を必死で身に着けるしかない。しかし、このような達観した人生観を持っていたからこそ転職を繰り返して現在のポジションまで這い上がってこれたのかもしれない。
ちなみに、私の金銭感覚(マネーリテラシー)もかなりの堅実志向で、余計な出費や浪費は大嫌い。投資は新NISAのみで、FXやギャンブルには絶対に手を出すつもりはない。
人口減少が急速に進む今後の日本は、あのようなバブル景気を再び迎えることは決してないだろう。それこそ桐野夏生の作品のようにジワジワと閉塞感のある未来しかイメージできないが、ここは氷河期世代の一員として、これまで自力で培ってきたサバイバル術を駆使して自分なりの意地を見せたいところ。

