世間ではちょうど桜が満開の時期を迎えている。
毎年この時期ともなれば、初々しい新入社員がオフィス街を闊歩する姿を目にする。私が新入社員の頃といえば、はるか昔の話(?)で、その当時は企業法務とは全く無縁の仕事に従事していた。そして、様々な紆余曲折と偶然を経て、現在は法務部門プレイングマネジャーに従事しているのだから、人生とはつくづくわからない。そんな私だが、毎年この時期に新入社員の法務研修を担当している。
とはいうものの、ついこの間まで学生時代であった彼らに難解な法律論を振りかざしてもあまり意味はない。ある程度作りこんだテキストは使うには使うが、むしろ、学生と社会人の違いを含めて、非法律的な話にもフォーカスしている。いわゆる「プチ脱線」というやつだが、過去の自分の経験を引き合いに出しながら、できる限り理解しやすい事例やエピソードを説明。その一方で、私からも受講者に問いを投げかけて回答を引き出すなどできる限り双方向のコミュニケーションを行うよう心掛けている。このあたりの「あうんの呼吸」はすっかり慣れたもの。
その過程で大事なことは、「企業の事業活動にとって法律は重要なツールである」というメッセージを伝えて理解してもらうこと。さらに現在、現職知事や元芸能人のハラスメント問題がマスコミで連日報道されているように、コンプライアンス・リスクも無視できない。(大学の授業のように抽象論に終始するのではなく)リアルな企業活動と法律の関連性をできるだけイメージしやすいようにレクチャーを行う。こちらの伝えたいことの半分ぐらい理解してもらえれば、成功と言えるかも。
私の場合、前職時代も含めて様々な拠点やテーマで研修講師の経験をしており、資料構成や話の進め方などのマイセオリーは完全に確立している。現在のスタイルもそれに基づいているが、新入社員相手だからといって油断は禁物。ここは事前準備を怠らずに取り組むことにしよう。