ニュースで2027年3月に手形制度が廃止されるというニュースを知って、「ついにこの日が来たか・・・」と感慨深く思った。
手形は、長らく企業間の信用取引において重要な役割を果たしてきた決済ツール。あの伝説的人気漫画「ナニワ金融道」(←社会人必読の書!)では、登場人物たちの運命を左右するキーアイテムとして、手形のリアルな存在感が印象深く描かれていたのを覚えている。しかし、時代の流れには逆らえず、アナログな仕組みはデジタルの波に飲み込まれ、ついにその歴史に幕を下ろそうとしている・・・。

私自身は、経理業務を担当したことはないので、手形の実物を実際に扱ったことはないが、前職時代に手形・小切手などの勉強会資料をPowerPointで作成して、セミナー講師を務めた記憶がある(もしかしたら、まだイントラネットに残っているかもしれない)。そのため、私は全国銀行協会が公開している資料を深く読み込んだもの。実物を扱った経験はなくとも、その仕組みの複雑さや、信用取引における意味の大きさには少なからず触れてきたつもり。

また、販売先の与信限度額の設定にあたり、代金の回収サイトが重要ポイントとなる。例えば、「末日締切/翌月末日支払い(自己手形100%、支払日起算サイト60日)」という条件の場合、1月に販売した製品の代金が現金として回収できるのは、なんと4月末日。もし、毎月の売上金額が100万ならば、100万×4ケ月=400万を与信限度額に設定するのが望ましい。これはすなわち、最大4か月間の代金未回収リスク(=与信リスク)を自社が保有することを意味する。
そのため、取引先とは常に「サイト(支払期日)をどう設定するか」という駆け引きが発生する。与信管理の観点では、サイトは短ければ短いほどよい。一方、取引先にとっては支払猶予が長ければ長いほど都合がよい。このせめぎ合いは、企業間取引の現場で日常的に起こるリアルな攻防だ。

しかし近年、下請法の改正が進められているように、「手形サイトの短縮化」の流れが加速しており、手形離れは一層進むのは確実。このように考えると、手形という決済手段は、まさに一つの時代の終わりを迎えようとしているのだなあと、改めてしみじみ。
こうして、企業の信用と資金繰りを支えてきた「手形」という決済手段も、ついにその歴史に終止符が打たれようとしている。もっとも、アナログの手形という仕組みをデジタル化したでんさい(電子記録債権)へ切り替える会社も多い。とはいえ、長年にわたる慣習が終わるのは一抹の寂しさを伴うが、これも時代の要請(=DX化の推進)なのだろう。
