1.稟議書から垣間見える書き手の個性
私は上級管理職という立場上、日常業務の一環として、ワークフロー形式による稟議書の起案や承認をそれなりの頻度で行っている。中でも、他者が作成した稟議書の回覧を受けて目を通す機会がとても多い。他人の稟議書を読み比べてみると、その文章には以下の通り様々な個性がにじみ出ており、なかなかに興味深い。
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論理構成が明快で、非常に読みやすいもの → 納得感をもって承認できる
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長々と冗長に書かれ、何度か読み返さなければ要点がつかめないもの →承認することを少し躊躇してしまう
2.稟議書作成時のテクニック
一方、私が稟議書を起案する際に心がけているのは、まさに「シンプル・イズ・ベスト」の徹底。具体的には、以下の点に注意している。
- まず結論から書く: 冒頭で結論を明記し、多忙な上位層の方が一目で内容を把握できるようにする。
- 箇条書きやかっこの活用: 経緯や補足情報は箇条書きで簡潔にまとめ、読み手が視覚的に理解しやすくする。
- 5W2Hの徹底:「漏れなくダブリなく」を心がけて稟議案件に関する情報を過不足なく表示する。
- ストーリー性の意識:読み手に納得感をもって一気呵成に読ませるだけの流れ(現在→未来)をちりばめる。
なぜならば、稟議書を読むのは主に会社の要職にある方々(役員や上級管理職)であり、彼らは非常に多忙だ。そうした立場の人々にとって冗長で回りくどい文章はストレスになるだけ。ゆえに、私は要点をまとめて理解しやすい文章にすることを最優先にしている。

前職時代は、稟議書自体に触れることは全くなかったが、一転して立場が変わった現職では毎日のように稟議書を読んだり、書いたりしている。ただし、企業法務担当者やブロガーとして日頃から多くの文章を書いている私にとっては、スムーズに取り組んでいるのでもっけの幸い。文章の構成や言葉選びには、すっかり慣れたもの。特に重要な点が情報伝達のフレームワークである5W2H(When・Where・Who・What・Why・How・How much)を漏れなく織り込むこと。これらを適切に記載することで、情報の欠落を防ぎ、読み手が知りたい情報を網羅的に提供できるし、それだけで稟議書としての完成度は格段に向上する。あとは、稟議書を申請する前に自分が決裁者(読み手)の立場にたって、ゼロベースで読み返すだけでもかなり違ってくるはず。
「たかが文章、されど文章」。どの会社でも稟議書自体は、せいぜいA4サイズ1枚で書くことが大半だろう。そこに過不足ない情報を記載し、読み手に納得感を持たせて、決裁するよう誘導する。これが簡単そうで意外と難しい。
なお、稟議書に限らず、ビジネスパーソンが日常的に使用するメールも文書作成能力が問われる。従って、本や多くの文章を読んで、自分なりの型(スタイル)を確立しておきたい。
