企業法務担当者のビジネスキャリア術

氷河期世代の企業法務担当者がライフログとして日々の出来事を記録しています。2009年に開始したブログは17年目を迎えました。

【目指せ年収1000万?】任天堂”最強”法務部、中途採用開始!気になる最難関求人の中身とは/Switch2発売の裏で動き出した法務戦略

今回は久しぶりの法務ネタ。
 

1.任天堂法務部が企業法務担当者を募集中

6月5日、待望の「Nintendo Switch 2」が発売された。我が家でも抽選予約にチャレンジしていたが、見事に落選(泣)。現在、4度目の挑戦中。そんな折、ネット界隈でちょっとした話題になっているのが、「最強」と名高い任天堂の法務部が企業法務担当者を募集しているというニュース。実際のところ、任天堂の採用ページには以下のように掲載されている。
 

キャリア採用:募集要項|採用情報|任天堂

 
※実際の募集要項
業務内容

新規に企画立案される製品、サービス等に関する予防法務・戦略法務業務

- 法規制への適合性に関する調査、分析

- 課題解決に向けた関係部門への提案、調整

- 海外子会社法務部門や外部専門家との連携

適性 【必須の能力・実務経験】

 

法務以外の業務を含めた実務経験3~10年程度(法務としての経験が少ない方も応募可能です)

海外の弁護士、ビジネスパーソンとのやりとりに支障のない英語力

【望ましい実務経験と能力】

法務業務での実務経験

下記に関していずれか、もしくは複数のご興味、ご経験をお持ちの方

- 個人情報・ユーザーデータを取り扱うビジネスでの法務・コンプライアンス関連業務

- eコマースその他のオンラインサービスにおける法務・コンプライアンス関連業務

- 利用規約、プライバシーポリシー作成

- 開発者(エンジニア)との協働

- 欧米やアジア圏の弁護士との協働

 

<参考>主要な取扱法分野

 - 個人情報保護法・特定商取引法・電子商取引および情報財取引等に関する準則・景品表示法・消費者契約法・電気通信事業法

 - 上記法分野の海外法規制

【求める人物像】

ビデオゲームやIT系の製品/サービスについて理解・関心をお持ちの方

ものづくりに関われることに喜びを感じられる方

論理的に筋道を立てて物事を分析・検討することが得意な方

社内外の関係者とのコミュニケーションを通じて、柔軟により良い解決策を模索することが得意な方

不確定要素を含むような新しい領域や課題に取り組むチャレンジ精神や好奇心をお持ちの方

語学力の向上に意欲的な方

勤務時間

コアタイム 10:00~15:00 休憩1時間 (標準となる1日の労働時間 7時間45分)

休日・休暇

年間休日数 125日(2025年度)

休 日  完全週休2日制(毎週土・日曜日)、祝日

休 暇  年次有給休暇、特別休暇、夏季休暇、年末年始休暇

平均年間給与

962万円 (2024年3月現在 正社員)

※基準外賃金および賞与を含む税込支給額。通勤費は別途支給。

福利厚生

制 度

各種社会保険、住宅支援、退職金、選択型福利厚生制度、財形貯蓄、総合福祉団体定期保険、団体長期障害所得補償保険、慶弔見舞金、各種育児・介護関連制度、リフレッシュ休暇、有給休暇保存制度、パートナーシップ制度 等

その他

保養所(福井県美浜町)、クラブ活動補助 等
受動喫煙防止
に関する措置

屋内禁煙、屋外に喫煙スペースあり

本社・本社開発棟・宇治工場・東京支店

 
 
ちなみに、以前の記事で任天堂がパルワールドを販売するポケットペアを特許侵害訴訟で提訴した件について触れたが、それを主管にしているのは法務部ではなく知的財産部のはず。世間では「法務部」と「知的財産部」が混同されがちだが、その職務範囲は大きく異なる。前者は主に契約・法務相談やコンプライアンス、後者は特許・商標・著作権など知財関連の業務(権利化や係争など)を担っている。ちなみに、私は前職時代に両方の仕事を経験しているので、そのあたりは肌感覚でよ~く理解している。
さて、氷河期世代かつ転職経験が豊富な歴戦の猛者(?)である私は、これまでの転職活動において法務担当者の募集要項を数多く見てきたので、今回の任天堂の求人にも興味深々。
 
 
<業務内容>
■新規に企画立案される製品、サービス等に関する予防法務・戦略法務業務
①法規制への適合性に関する調査、分析
②課題解決に向けた関係部門への提案、調整
③ 海外子会社法務部門や外部専門家との連携

 

契約書の作成・審査といった“ザ・企業法務”な業務よりも、法令調査や社内外との調整業務に重きが置かれている印象。つまり、相応に経験を積んだ中堅以上の法務パーソンを求めているということか・・・。
 
<必須の能力・実務経験>
 
①法務以外の業務を含めた実務経験3~10年程度(法務としての経験が少ない方も応募可能です)
②海外の弁護士、ビジネスパーソンとのやりとりに支障のない英語力
 
特筆すべきは英語力の要件だろう。スピーキングやライティングに支障がないレベルが求められており、これはSwitch 2の発売を機に海外展開での法務リスクが増加すると法務部の首脳は想定しているのだろうか?英語に自信のない方は、残念ながら書類選考を通過するのも難しいはず。
 
<求める人物像>
 
①ビデオゲームやIT系の製品/サービスについて理解・関心をお持ちの方
②ものづくりに関われることに喜びを感じられる方
③論理的に筋道を立てて物事を分析・検討することが得意な方
④社内外の関係者とのコミュニケーションを通じて、柔軟により良い解決策を模索することが得意な方
⑤不確定要素を含むような新しい領域や課題に取り組むチャレンジ精神や好奇心をお持ちの方
⑥語学力の向上に意欲的な方
 
①はゲームメーカー独自の選考基準だが、②~⑥は企業法務担当者に求められる人物像としては、特段おかしくはない。特に、③はロジカルシンキング、④はコミュニケーションスキルと柔軟性、⑤は積極性を伴う課題解決力を意味している。マネジャーである私自身も企業法務担当者の求人を出すならば、やはり③④⑤あたりは応募者に強く求めたいところ。
 
<給与>
なお、一番気になる給与については、平均給与962万とされており、これは採用された人物のキャリアや年齢などによって大きく増減するだろう。任天堂のHPで公開されている2024年3月期の有価証券報告書には、従業員の平均年齢や平均給与が記載されており、この数値をそのまま引用している模様。
 

 
 
有価証券報告書の9ページ「従業員の状況」によると、任天堂の社員の平均年齢は40.2歳、平均年収は962万円。世間的には十分な高給取りだ。なお、これは一般社員と管理職を含めた全体平均であり、社員数2814人の大半はおそらく一般社員と考えられる。逆にいえば、課長に昇進すれば、年収1100万~1200万あたりは十分に狙える水準とみた。部長ならば1300~1500万はカタイだろうか(ただし、私の完全な推測)。もっとも、40.2歳で平均年収962万ならば、万が一管理職に昇進できなくても、おそらく40代後半~50代前半で確実に1000万は突破できるだろう。
 

2.まとめ ~やはり“最強”法務部、待遇もハードルも高い~

今回の募集要項を分析すると、以下のような点が読み取れる。
 
  • 英語力はマスト。相応の実務経験と語学力が要求される
  • 待遇は極めて良好。特に昇進すれば年収1000万円超えも現実的
  • 求められる人物像は、論理的で柔軟性があり、変化を楽しめるタイプ
 
やはり「最強」の異名をとる任天堂法務部だけに、募集人材のハードルは決して低くない。仮に私がもう少し若かったとしても、おそらく書類選考でアッサリと弾かれることだろう……(涙)。しかし、もしこのブログを読んでいる方に「我こそは!」という強者がいるならば、是非チャレンジしてほしい。健闘を祈る!!