1.お茶の間に轟く、怒声、雄叫び!伝説のドラマ、再降臨!
現在、NHK-BSで「独眼竜政宗」が再放送されている。言わずと知れた1987年の大河ドラマで、戦国末期に彗星のごとくあらわれ、奥羽地方を駆け抜けた伊達政宗の波乱万丈の生涯を描いた作品だ。平均視聴率は驚異の39.7%。つまり、当時の日本人の3人に1人以上がこのドラマを見ていた計算になる。いまの時代なら「国民的Youtuber」どころか、「国民的戦国インフルエンサー」といったところか。
思い返せば、前職時代の2017年頃、法務研修の出張講師として仙台営業所を訪れたことがある。真面目に研修を終えた後、足は自然と仙台城跡へ。あの有名な伊達政宗騎馬像の前で、「うぉー!これぞ伊達者!」と心の中で叫びながら、私も政宗公と同じポーズで写真をパシャリ。今見返すと、なぜか私の表情も片目を細めていて、完全に政宗に引っ張られている。きっと無意識に「独眼竜ごっこ」をしていたのだろう。そして、隣接する資料館では、政宗の生涯に思いを馳せ、「ふむ、この水玉模様の陣羽織、コンプライアンス的にどうだろうか…」などと、職業病丸出しの感想を抱いたのも、今となっては良い思い出(笑)。
そして時は流れ、2025年。リビングのテレビに映し出される若き日の渡辺謙演じる政宗、どことなくユーモラスな津川正彦演じる徳川家康、そして何と言っても勝新太郎の不気味な豊臣秀吉…。名優たちが演じる血の通った歴史ドラマは令和の今見ても十分面白い。最近のおとなしい大河ドラマとは全く比べ物にならない。
「おのれ!」「であえ、であえーっ!」「出陣じゃー!」「こやつめ!」「と、殿~~~!」
今回改めてドラマを見直すと、まず役者陣の声量の迫力!とにかく全員、例外なく声が大きい。腹の底から絞り出すようなセリフ回しで、「隣の部屋まで響いてるんじゃないか」と思うほどだ。実際、私がテレビを見ていたら台所の妻から「ねぇ、テレビの音量、ちょっと下げてくれない?役者の声がうるさいんだけど(怒)」と、最大級のクレームが飛んできた。ドラマの世界に入り込んでいた私は、「ご無礼を!失礼つかまつったでござる!」とついつい寒いジョーク(?)で返す。

あと、このドラマの放送時期はバブル末期。セットや衣装に惜しみなく資金が投じられており、城の障子一枚までが豪華に見える。いまのドラマと見比べると、あの頃のNHKは「戦国の経済成長期」だったのかもしれない。「ああ、ここに潤沢な予算が…」と、つい下世話な目線で見てしまうのも、また一興か。
2.PS Vita版「信長の野望 戦国立志伝」で伊達政宗をプレイ!
こうして毎晩、脳内にアドレナリンをドバドバと分泌させていると、もう一つの衝動が抑えきれなくなってくる。
「我も、天下を狙いたい…!」
気づけば私は、物置の奥で眠っていたコーエーテクモのシミュレーションゲーム「信長の野望・戦国立志伝」(PS Vita版)を引っ張り出していた。そう、これもまた、あの仙台出張の新幹線でポチポチとプレイしていた思い出のゲーム(当時は出張して法務研修をすることが多かった)。隣の席から見たら、さぞかし怪しいビジネスマンだったかも。プレイヤーはもちろん伊達政宗。 「よし、まずは親父殿(伊達輝宗)を隠居させて実権を握り…っと、史実通りだと悲劇が起きてしまうではないか!」「このまま南下して蘆名家を叩くか、いや、ここは佐竹との同盟を…」などと、ブツブツと独り言を言いながら、奥羽地方を次々と平定していく。


そういえば、ドラマ「独眼竜政宗」を見ていると、「戦国大名といえども、今の管理職以上にストレスフルなポジションだったのでは?」と妙に親近感を覚える。例えば、政宗は天下人・太閤秀吉から何度も疑いをかけられるシーンがある。秀吉の小田原攻めに参上した時には白装束を着たり、十字架を背負って京都を歩いたり、所領を一部没収されたことがある。また、部下の命を預かり、同盟や裏切りに頭を悩ませ、しかも家族(実母)からのクレームも容赦ない。まるで現代のサラリーマンと変わらない。違うのは、私には片目の眼帯も、立派な兜もないという点くらいだろうか。
3.おまけ ~独眼竜的な歴史妄想あれこれ~
もし私が独眼竜だったら……と妄想していると、さらに広がってしまうのが「戦国版コンプライアンス」。たとえばハラスメント対策。戦国時代の上司はとにかく声がデカい。「おのれぇぇぇ!」と一喝するのは日常茶飯事。しかし現代の基準では、これはパワハラの危険信号だ。独眼竜政宗がもし現代企業に入社したら、コンプライアンス研修で真っ先に「部下を怒鳴るのは禁止」と注意されるに違いない。おそらく政宗も「えっ、それじゃ戦にならんじゃないか」と困惑するかも。
次に飲み会。戦国武将といえばどんちゃん騒ぎが付き物だが、現代ならアルハラ(アルコール・ハラスメント)扱いである。政宗が「飲め、飲め、盃を干せ!」と強要しようものなら、コンプライアンス部門から「それは不適切です!」と即刻ストップがかかる。きっと政宗も「では烏龍茶でよい」と折れるしかない。

さらに戦国時代の典型的な「裏切り」も、現代企業では立派なコンプライアンス違反だ。ライバル企業に内通するなんて、今なら秘密情報漏洩で即懲戒処分である。現代版・独眼竜政宗がいたら、きっと「秘密保持契約(NDA)」を結びまくっていたに違いない。それでも、戦国のコンプライアンス違反はなかなかスケールが大きいかもしれない!?
このように令和の今、しょうもない脳内妄想しながら昭和のドラマを楽しむのもなかなか乙なもの。さて、9月からドラマはいよいよ「関ケ原の戦い」などの戦国最大のクライマックスを迎えるので興味を持った人は一度チェックしてみてほしい。

