企業法務担当者のビジネスキャリア術

氷河期世代の企業法務担当者がライフログとして日々の出来事を記録しています。2009年に開始したブログは17年目を迎えました。

【トレッキング】ただ一人、静寂を歩く。みかん畑を抜け、海を望む峠へ/海南から有田へ、14キロの秋さがし

1.旅のはじまりは、曇り空の下で

先日、和歌山・海南から熊野古道をトレッキングしてきた。その静かな道程を、ここに記しておきたい。

 

 
当日は、JR大阪駅から紀州路快速に乗車して、終点の和歌山駅まで向かう。そして、紀伊本線に乗り換えて30分ほどでJR海南駅(マップ①)に到着。当日のトレッキングのスタート地点がこちら。空は一面の薄曇りで、それがかえって、今日の静かな山歩きにふさわしい幕開けのように感じられる。線路沿いの道を30分ほど歩き、藤白神社を過ぎると、いよいよ熊野古道の登山口(マップ③)が見えてきた。ここから本格的な山道が始まる。

 

2.過去と交差する、藤白坂の展望所

竹林の中を登ること約30分。やがて視界が開け、藤白坂の展望所(マップ③)に到着した。眼下には和歌山マリーナシティが広がる。雲の切れ間からわずかに光が差し込み、海面が鈍く光る。晴天ならば青く輝くはずの海も、この日は灰色に沈みがち。
 
 

 
ここで一息つき、霞む海を眺めていると、ふと懐かしい記憶が蘇った。 「そういえば、ここに来たことがある」 自分のブログを検索してみると、果たして、10年前に家族旅行で訪れた記録が残っていた。時の流れの早さにただただ驚く。この記事には息子の写真が写っているが、あれから10年の歳月が経過して、背丈は今の私と同じぐらいになって、声変わりもしている。いやはや月日が経つのは早い・・。

 

kigyouhoumu.hatenadiary.com

 

 
あの日の家族との思い出の場所を、今こうして一人で見下ろしている。あっという間に過ぎ去った歳月の早さに驚きつつも、どこか温かい気持ちが胸に広がる。そんな追憶に浸りながら再び南へ歩みを進めると、山あいに小さな集落が現れた。その一角にある地蔵峰寺(マップ④)の静かな縁側を借りて、しばし休憩。持ってきた軽食を頬張りながら、ゆったりと流れる時間を味わう。

 

 

3.みかん畑と、いにしえの道

再び歩き出すと、山道は蛇行しながら下っていく。左右には段々畑が広がり、たわわに実ったみかんのオレンジ色が山肌に点々と浮かぶ。このあたりは有田みかんの産地なのだろうか。こんな急峻な土地で、昔から人々が畑を拓いてきたことに驚かされる。
 

 
 
そのまま橋本王子跡(マップ⑤)、橋本神社(マップ⑥)と、古(いにしえ)の巡礼者たちの足跡を辿るように進む。川沿いの道を歩いていると、白い軽トラックがいくつも行き交う。収穫の季節なのだろう。山と人との暮らしが、今もこの地で息づいている。境内に立派な土俵が設けられた山路王子神社(マップ⑦)を抜けると、道は再び静かな山道へ。疲労を感じながら峠道を進み、拝ノ峠を越えた、その瞬間――――。
 

4.言葉を失った、和歌山湾の絶景

目の前に、この日一番の光景が広がっていた(マップ⑧)。 西側に視線を転じれば、幾重にも連なるみかん畑の鮮やかな緑の向こうに、和歌山湾が静かに、そして雄大に横たわっていた。
 
鳥の鳴き声を聞きながら、峠に立ち尽くしてその風景を見つめる。その時は、別に何も感じないが、こうしてブログを書きながら振り返ってみると、もしかしたらあの瞬間は、人生の癒しの時間なのかもしれない、ともふと思う。
 

 

 
あの景色がくれた感動を胸に、あとはゴールを目指してゆるやかな下りを進む。蕪坂王子跡(マップ⑨)、山口王子社跡(マップ⑩)を通り抜ければ、再び集落の風景が戻ってきた。みかん畑や民家の間を抜けて30分ほど歩けば、有田川のほとりにたたずむJR紀伊宮前駅(マップ⑪)に到着。移動距離14キロ、4時間半のトレッキングのゴールとなり、静かな熊野古道の一日となった。
 

 

今回のトレッキングでは、不思議なことに他のハイカーと一度も出会わなかった。そのおかげで、山の呼吸や風の音を心ゆくまで味わうことができた。穏やかな気候の中、初秋の空気を胸いっぱいに吸い込みながら歩く時間は、まるで日常の外に出たような感覚をもたらしてくれた。
 
 
そして、拝ノ峠から見た和歌山湾の光景は、今も鮮やかに心に残っている。本ブログでは、これまで何度か海を見ながらのトレッキングを紹介しているが、個人的には「山&海」というシチュエーションがすごく気に入っている。
 
 
和歌山には、このように海と山が近くに寄り添うトレッキングコースが数多く点在している。次はもう少し南へ──熊野の深奥へと、また歩を進めてみたいと思う。
 

 

大人の遠足BOOK熊野古道をあるく

大人の遠足BOOK熊野古道をあるく

  • ジェイティビィパブリッシング
Amazon