さて、福岡旅行記も後半戦。3日目の様子をつづっていく。
1.猫と人が暮らす島へ
この日は、博多から北に位置する「猫島」こと相島を訪問。テレビ(たぶんNHKのドキュメント72時間)で一度見たことがあり、ずっと心に残っていた島である。海と猫と、素朴な暮らしが同居する小さな楽園だという。

まず、JR博多駅から鹿児島本線に揺られて約20分、JR福工大前駅で下車する。そこから新宮漁港までバスで行く必要があるが、駅北側のバス停には、すでに大勢の観光客が列を作っていた。どうやら相島は海外からの旅行者にも人気で、さらには釣りの名所としても知られているらしい。
2.これは猫の試練なのかーーーー!?
バスに揺られて到着したのは、新宮渡船待合所。しかし、そこで私たちを待っていたのは、予想外の現実だった。11時30分発の船がちょうど桟橋で待機していたが、すでに長蛇の列。バスを降りてそのまま乗船しようとしたところ、なんと係員から「定員オーバーで乗れません。次回の船に乗って下さい」と無情の宣告を受ける。思わず言葉を失ったが、かつて韓国で定員超過による転覆事故があったことも記憶に新しい。同じような目にあった人は私たち以外にも4~5人ぐらいいたと思うが、安全のためならば致し方ない・・・。

次の出港は14時30分。突然、私たちの手元に3時間という空白の時間が投げ出された。 途方に暮れて待合所の外へ出ると、一匹の猫と目が合う。その鋭い眼光は、まるで「そこの人間さん。島の猫に会うには、まだまだ修行が足りないねえ」とでも言いたげだ。うむむ・・。彼もまた、相島の血を引くものなのだろうか。

※気がつくと鋭い眼光で私たちをにらみつける一匹の猫。まるで値踏みするような視線だ。
※私たちを見ても逃げる様子はない。人慣れしているのだろう。
3.ようやく玄界灘を越えて猫の聖地へ
そのまま近辺を散策したり、近くの飲食店で昼食を食べたりして時間をつぶしているうちに次の出航時間(14時30分)が迫ってきた。


※この日もいい天気。絶好の旅行日和だ。

再び乗り遅れてはたまらないと先頭近くに並んで船を待つ。今度は無事に乗船することができて一安心だ。ふう。

ようやく乗船した船は、快晴の空の下、滑るように海を進む。 デッキに立つと、玄界灘の力強い風が頬を撫でる。青い海と空の境界線が溶け合うような景色を眺めていると、待ち時間の疲れなど波間に消えていくよう。うん、久しぶりの海はいいものだ。
※海からの風が爽快!玄界灘の穏やかな雰囲気を感じながらクルーズを楽しむ。
※20分ほどで相島に到着する。
そういえば、中型船に乗るのは、2022年の前職在職時の広島出張以来。翌日が土曜日だったので、これ幸いと宮島の東隣にある江田島でトレッキングするために、広島港からフェリーに乗船したことがある。普段は、なかなかこの規模の船に乗ることはないので、乗るたびに新鮮さを感じる。
4.猫たちと、悠久の時が眠る場所
さて、予定から3時間遅れにはなったものの、ようやく相島の港へ到着(マップ①)。船から降りて港から北へ歩くと、漁港(マップ②)が姿を現す。そこでさっそく数匹の猫がこちらを出迎えてくれた。人慣れしているのか、近づいても逃げようとしない。むしろ「よく来たな、そこの人間たち」とでも言うように、泰然とそこにたむろしていた。そのうちの一匹は、妻がそっとお尻をなでると、なんとも言えぬ幸せそうな表情を浮かべる。




※妻の愛撫(?)に満足そうな表情をうかべる猫(笑)。
※逃げる様子はないので、本当に人馴れしてるのだろう。
猫たちに別れを告げて、島の小学校前を通り、東へ向かうと鎮座するのが剣神社(マップ④)。さらにその先には、4世紀から7世紀にかけて築かれたという「相島積石塚群(あいのしますみいしづかぐん)」が広がっていた。海風に晒されながら、遥か昔からこの地に眠る石の群れ。歴史好きの血が騒ぐと同時に、古代の人々もこの海を見ていたのかと思いを馳せる。


ふと視線を海に向けると、奇妙な形をした岩が目に入った。海風と波が何百年もかけて彫り上げた自然の造形であり、その存在感は圧倒的であった。これも自然のなせる驚異なのかも。これは一見の価値あり。

※島の東南に岩の中心をくり抜いたような奇岩を発見する。通称「めがね岩」だ。
5.この絶景は猫からの贈り物か?
やがて帰りの船が出る17時が近づきたので、港へと戻ることに。名残惜しいが、途中で猫たちに別れを告げて港に戻る。


※誰かがとんびに餌をあげていたようだ。
名残惜しさを抱えながら船乗り場から新宮漁港行きの船に乗船。船は定刻に港を出発し、本土に向かって動き出す。そして、その船上、私たちは思いがけない絶景に出会うことになる。次の動画を見て欲しい。
※ちょうど1分過ぎあたりの光景に注目。日常生活ではなかなか目にすることがない風景だ。
・・・・それは、玄界灘の水平線に沈みゆく、燃えるような夕日の姿。ゆっくりと沈んでいく太陽を眺めながら、この日を締めくくるにふさわしい瞬間だと実感する。これも今回の旅行体験の一つ。
※さらに10分ほどたつと太陽があんなに小さくなっていた。
このとき思ったのが、私たちがあの美しい夕日を見れたのは、乗りそびれたあの3時間のおかげかもしれない。もし、最初の船に乗れていたら、この景色を見ることはなかっただろう。 相島での滞在はわずか2時間ほどになってしまったが、その代償としてこの茜色の空を与えられたのだとしたら、それはそれで決して悪い条件ではない。 この偶然(セレンディピティ)は、今日出会ってきた猫たちのおかげといったら少し強引過ぎる解釈だろうか。

※はるか彼方の水平線に落ちていく夕日。これも旅における出会いの一つかもしれない。

こうして、波乱と癒やしと猫に満ちた旅の3日目は幕を閉じた。 次回はいよいよ最終回。福岡家族旅行の終わり、4日目の記録を綴りたい。
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