企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【契約審査】契約書前文の「甲」「乙」の順番にこだわる/世の中にはいろいろな会社もあるもんです

1.契約書前文における表記 今回は久しぶりの契約書ネタ。 法務担当者ならばもちろん、営業担当者でも契約書というものを取り扱ったことがある人ならば、契約書の冒頭において、その当事者を以下のとおり記載することはご存知であると思う。
ABC会社(以下、「甲」という)とDEF会社(以下、「乙」という)とは、…に関して、以下のとおり契約する。
先日、某社向けに上記のような前文を記載したある契約書案を提示したところ、次のような対案を受領したのだが、思わず目が点になってしまった。
DEF会社(以下、「甲」という)とABC会社(以下、「乙」という)とは、…に関して、以下のとおり契約する。[※ちなみにABC会社が自社]
いきなり冒頭で自社と相手方の順番が逆転とされており、私も「なんじゃ、これは?」と面食らった次第。 相手方は、変更案においてわざわざ「甲」「乙」の順番を逆転させていたのだ。当然のことながら、受領した相手方対案は赤ペンだらけであった。もちろん、契約書本文中でも変更要望箇所はそれなりに数多くあったのだが、正直なところ、私としては「大事なのは中身であって、形式的な順序なんてどちらでもいいだろうに…」と思ったものである。 ちなみに、過去にも同様のケースは何件か存在した。それらの共通点は、契約の相手方がいずれも大手企業である、ということだ。私はこのような大手企業の法務部門において一体どのような指導体制がなされているのか、サッパリわからないが、このような会社の法務部門では、「自社を必ず『甲』にするように!」という指導でもなされているのだろうか? 今回のケースの場合、ムキになって元に戻すことも時間がもったいないため、(その他の箇所はともかく)相手方が申し立ててきた「甲」「乙」の順番については、黙って受け入れることと次第…。 2.契約当事者のパワーゲーム 今回に限らず、契約交渉を行うに際して、自社と相手方との力関係というものは、決して無視することができないファクターである。例えば、法務担当者であれば、必ずこだわるポイントは、契約交渉を行うにあたっての「第1案が自社定型契約書であるか否か」という点。当然過ぎるきらいなのだが、その契約書式を作成した会社に有利な条項が数多く存在しているため、どの会社も自社書式にこだわる。ここに、いわゆる英文契約書の解説本に書かれているような「battle of forms(書式戦争)」が発生する。 しかし、どちらも自社書式にこだわっていたら、交渉のしようがないので、仕方なくどちらか一方が折れざるを得ない。その結果、「相手方に折れた」当事者サイドがやむなく相手方案をベースにしたリスク対応の覚書を作成することになる。従って、そのような作業をさせられる会社には手間暇というコストが発生することになる。 以前の記事において紹介したように、これが超大手企業ならば、殿様商売が可能なので、「自社書式でないと契約しません。変更も受け付けません」という強気な主張も可能だが、そうでなければ、相手方に応じてその対応方針を使い分けるという臨機応変な対応が求められることになる。従って、battle of formsが発生した場合、おとなしく引き下がる/あくまで自社書式にこだわる、という判断を適切に行うことも企業法務担当者に求められるといえるかもしれない。
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原 秋彦

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