①法務担当者が設置されていないため、どう対応してよいかわからず途方にくれているケース 世の中には法務部門(法務担当者)が設置されていない会社はざらに存在しているが、そのような会社はたいてい総務系の管理部門が対応するケースが多いようだ。しかし、そうなると、スタッフが法律に疎いため、自社の対案が放置状態になっている場合も少なくない。 ②法務担当は設置されているが、抱えている案件が非常に多く、なかなか対応してくれないケース 上記とは別に法務担当者は設置されているものの、いわゆる一人法務のため、数多くの仕事をかかえており、なかなか自社対案を審査する順番が回ってこないというもの。こうなると、ひたすら待つしかない。 ③単に営業担当者が法務部門に相談するのを忘れていたケース 私も何度か経験しているが、相手方の営業担当者が自社対案を法務部門に転送することを忘れていることもある。逆に質・量共に充実した法務部門を抱える大手企業クラスとなると、一般的にこちらに対するリアクションも迅速なのだが、やはり抱えている法務案件がハンパになく数多いため、一概にそうとも言い切れないような気がする。 2.契約交渉の途絶後の取り扱い そんなこんなで交渉開始してから1~2年経過しても、返事もくれない会社も確かに存在しており、これにどのように対応するかが問題となる。ただし、基本的には、しつこく相手方に契約交渉のアプローチを投げ続けるしかないと思う。また、そうしていると、まれにだが、交渉が復活するケースもある。その場合は、迅速に対応して短期間で条件合意にまで持ち込みたいところだ。 このように、法務担当者には、相手方と粘り強く交渉を行う忍耐力も要求される面もある。そのあたりは個人の資質にもよるだろうが、対案を提示し放しにするのではなく、 定期的にフォローするように心がけていきたい。そのためのツールとしてはOutlookが非常に役立つツールなのだが、こちらが利用できない環境にお勤めの方には、何か別のデジタル系ツールで代替えすることをお勧めしたい。(アナログ管理は少しキツイと思う) 3.契約交渉の見込みが完全に途絶えた場合 もっとも、悲しいことに、しつこく回答を催促しても全く返事をくれない会社も存在する。その場合、契約書なしのまま取引が進めることもやむを得ないだろう。ただし、リスク対応が不十分となる可能性があるため、所管部門などによくよくそのことについて説明の上、自己責任で取引を進めてもらうしかない。その場合、一連の交渉の経緯記録を保管しておくことも大事である。
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