以前に締結済みの契約書を法務部門が一元管理することの重要性について触れたのが、今回は、より具体的に「契約書をどのように管理するべきか」について別の面からも触れてみたい。
【契約審査】契約締結~契約管理段階のプロセスについて/これは会社によって様々な運用方法がとられているようです: 企業法務担当者のビジネスキャリア術
1.契約書の管理手法
私も自社の企業法務担当者として、毎日のように契約書の作成や審査に携わっているのだが、仕事の「成果物」というべき締結済み契約書をどのように保管・管理するかは大きな課題となっている。もし、いい加減な管理を行っていると、必要なときに必要な契約書を参照することができなくなるおそれがある。従って、契約書管理は非常に地味なのだが、きちんと実施することが大事である。
ここで契約書の管理手法を大きくアナログとデジタルの二つの側面に分けてみたい。
<アナログ管理>
さすがに締結済みの契約書にパンチで穴を開けることは皆無と思われるので、いずれの会社によってもA4サイズのクリアファイルなどに保管することがほとんどだろう。その具体的な方法として
①取引先の社名(または社内参照用の企業NO)ごとに保管する方法
②社名を問わず締結した順番に時系列に保管する方法
のどちらかが考えられるが、①の方法を採用している会社が多いのではないだろうか。いずれにせよ、余計な書類は省いて、必要最小限のもののみを保管しておくことが適切である。
<デジタル管理>
契約書を締結する件数がそれほど多くない会社であれば、上記のアナログ管理方法で十分だと思う。しかし、保管する契約書の件数が数千~数万単位となると、アナログ管理では検索が非常に面倒になるため、デジタルデータベース化をはかった方がいい。
なお、契約書データベースに関するソフトウェアとして、以下のような市販品が発売されているようだ。
http://bunshokanri.jp/keiyakusho01.html
http://www.fujixerox.co.jp/solution/management/docuworks_contract_management.html
http://www.epson.jp/b_solution/bumon/eigyo/eigyo_007/
http://www.stec.co.jp/kks/
これらのソフトウェアが、自社の予算範囲内であり、自社のニーズにある程度マッチしているならば、導入するのもひとつの方法であろう。しかし、そうでないならば、
マイクロソフトのEXCELやACCESSを活用して自社仕様の契約書データベースを構築せざるを得ない。他の企業法務ブロガーの方も似たようなことをやっているようである。
契約書の管理(締結済み契約書編) : 企業法務について
契約書の管理方法 風にころがる企業ホーマー
ここでポイントとなるのだが、EXCELまたはACCESSのいずれにせよ、データの羅列である一覧表形式で終わらせると、単なる「目録」で終わってしまう。それではあまりにもったいないので、より一歩踏み込んで自社サーバ内に締結済み契約書のPDFデータを保管した上、
ハイパーリンクで関連つけて、一覧表から契約書のデータそのものを参照できるようにしておくことをお勧めしたい。
ハイパーリンクを設定する - Excel - Office.com
ハイパーリンクを作成する - Access - Office.com
こうすれば、
①契約書原本のバックアップをとることができる
②キャ
ビネットまで契約書原本を取りに行くことなく、自席にいながら契約書を参照することができる
というメリットがあるからだ。またEXCELまたはACCESSの設定次第で、「契約書は依然有効なのか、それともすでに失効しているのか」ということを「
見える化」することも可能である(ACCESSのクエリ機能など)。こうすれば、契約書の更新作業を見落とすことはない(アナログ管理ではこれは非常に困難である)。
3.まとめ
アナログ管理の場合、会社の規模・業種に相違があっても、やっていることにそれほど大きな違いはないだろう。しかし、デジタル管理は、会社によって「実施している/していない」はもちろんのこと、実施の方法も大きく異なっていると思われる。しかし、大事なのは、自社や法務部門の実態やニーズを正確に把握した上、適切な管理手法を確立した上、適宜改良・改善していることだと考える。
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