企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【契約書】取引先との契約交渉を行うときに留意するべき9つのポイント/企業法務担当者もタフなネゴシエーターたることが求められます

契約審査完了後、自社案を営業マンを通じて相手方に提示した場合、相手方によっては、「直接お会いして契約条件を決めたい」という提案を受けることがある。その場合、私も営業マンと一緒に相手方を訪問して契約交渉を行う。今回は私なりの契約交渉時のテクニックをご紹介したい。 1.事前に自社関係者で入念に打ち合わせを行い「譲歩ライン」を決めておく まず自社の関係者間において事前に「落としどころ」を決めておく。つまり「このレベルならば妥協できる」「これ以上当社が不利になる条件には同意できない」といった最終的な「譲歩ライン」を相互確認しておくのだ。例えば、「Aという条件は最悪捨ててもいいが、Bという条件は絶対に譲れない」というように。そうしておけば、本番で自社の方針がブレないですむ。もちろん、「譲歩ライン」は自社サイドの胸の内にしまっておき、相手方にわざわざ言う必要はない。 2.できる限り複数の選択肢(オプション)を用意しておく 争点となっている条項について、当社がとりうる選択肢をできる限り多く考えて、そのメリットやデメリットを検討する。そして、契約交渉の状況に応じて自社が最も優位となるオプションを選択する。なお、以下の書籍の第2章にその旨が記述されている。 プロ弁護士の思考術 (PHP新書)のまとめ | ブクペ 3.相手方を「御社」ではなく担当者名で呼びかける 相手方と対面した場合、ビジネスマナーに従って、相手方と営業担当者や企業法務担当者と名刺交換を行うだろう。その後、指定の席に座ったら、相手方の配置に従って、名刺の順序をそろえることをお勧めしたい。そして、交渉の場ではその名刺を観ながら。積極的に相手方担当者の名前を呼びかける。つまり、「御社のご提案は…」ではなく「山田さんのご意見としては…」と会社ではなく個人の固有名称で呼びかけるのだ。私の場合、初対面であってもいっそ慣れ慣れしいほど名前を呼びまくる。これは交渉の場にありながら、傍観者的な立場の方がいるので、少しでも当事者意識をもってもらうための苦肉の策だ。 4.まず自社に有利な条件をふっかけた後に徐々に譲歩を行う 契約交渉を行う場合、まず相手方が同意しないであろう自社に有利な条件を提示する。もちろん、相手方が同意しないことはこちらも承知済みだ。そこで、当社が望む他条件の獲得と引き換えに当初の要求を変更または撤回して譲歩を行う。そうすれば、相手方に一種の恩を着せることができ、その他の交渉もスムーズに進ませることができる。何かの本で読んだことがあるが、大阪市の橋下市長も現役弁護士時代にこの交渉術を使用していたとか。 5.「我々」「私たち」という言葉を多く用いる 契約交渉を行うという時点ですでにお互いの利害が対立しているケースが多いのだが、私はあえて「私たち」「我々」といった表現を使用することにより「双方は今回の取引を通じて利益(ベネフィット)を獲得する運命共同体ですよ」という雰囲気を醸し出すようにしている。そうして、敵対的な構図を少しでも和らげるよう意識している。 6.その場で回答できることは回答し、持ち帰るべきことは持ち帰る 今まで契約交渉を行ったケースを振り返ると、こちらが何か提案を行っても「その件は上層部を相談してから回答します」「当社の顧問弁護士の意見を聞いてから回答します」と返答される例が少なからずあった。同じ組織人である以上、ある程度は理解できるが、あまりにもそればかりだと少し興ざめしてしまう。自社を代表してこの場に在席しているのだから、一定の権限が付与されてしかるべきであろう。少なくとも自社サイドは、保留すべき箇所を除いてその場で回答できることはハッキリと回答するべき。ただし、契約交渉が自社に不利な状況ならば、話は別で、上記論法で相手方の要求をかわすのも有効である。 7.要所要所でそれまでの話の流れを要約する 契約交渉の場に参加する人間が多ければ多いほど、様々な意見が乱れ飛び、収集がつかなくなるときがある。そこで、交渉の流れの合間をみてそれまでの結論を要約して、自社と相手方で再確認することが大切だ。その上で次の論点に進むとよい。 8.交渉最終段階では双方のアクションを明らかにする 一通りの論点について交渉が完了した後は、最後に双方がとるべき行動(いつまでに、誰が、どのようなアクションを行うか)について再確認することをお勧めする。つまり、双方の「宿題」を明らかにするのだ。 9.契約交渉後、案件が終了するまで名刺を保管する 契約交渉が終わって自社に戻った後に、その日に受領した名刺をきちんと整理整頓しておきたいところ。万が一、電話等で相手方へのフォローが必要になるかもしれないため、案件が終了するまで名刺は保管しておきたい。 だいたいこのような感じである。契約交渉というものは、相手方とのパワーバランスや自社の社内事情などの様々な要因が複雑に絡むケースもあり、なかなか思い通りに進まないことがある。それでも企業法務担当者としてベストの結果を目指して粘り強く行動することが必要であろう。
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