企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【社会・経済】2010年に経済産業省より公表されたレポート「日本の産業を巡る現状と課題」が的確過ぎる/企業法務担当者は経済知識もある程度身に着けておきたいところ

1.「日本の産業を巡る現状と課題」 先日、図書館で以下の書籍を借りてきて、少しずつ読み進めているところだ。
僕は君たちに武器を配りたい僕は君たちに武器を配りたい
瀧本 哲史

講談社 2011-09-22
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本書の内容は、人口減少や経済格差が進む現代の日本社会において、若者がこれからこの厳しい時代を生き抜いていくためのヒントを紹介したもの。なかなか鋭いポイントを指摘している良書で、機会があれば書評などを紹介したい。 そして、文中では、2010年に経済産業省が発表した「日本の産業を巡る現状と課題」というレポートについて言及されている。このレポートはインターネットでも公開されているので、早速ダウンロードして読み進めてみた。ページ数は50ページほどだが、フォントが大きく、表も多用されているので、読みやすい。 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100225a06j.pdf 本レポートのポイントをまとめると以下のとおり。
・日本経済の行き詰まりは深刻である。世界における日本の経済的地位は低下している。一人当たり豊かさも低迷。 ・この行き詰まりは一過性のものではなく、①産業構造全体の問題、②企業のビジネスモデルの問題、③企業を取り巻くビジネスインフラの問題などの構造的問題に起因する。 ・貯蓄率は既に先進国で最低の水準まで達しており、所得分配による内需拡大には限界にきている。 ・海外進出の進展と国内事業活動の低迷は続き、さらに今後も継続する。 ・東京、名古屋圏とそれ以外の経済格差が拡大。特に地方圏では、今後急速に人口減少が進む。地域経済の立て直しが深刻な課題となっていく。 ・潜在的な失業者数:905万人であり、潜在的な失業率:13.7% ・所得の拡大はグローバル製造業(輸送機械・電機・鉄鋼・一般機械)に依存しているが、就業者数は17%と低く、グローバル製造業に、雇用の量の面で多くを期待するのは無理。 ・上記の特定グローバル製造業以外を、海外の成長市場につなげることで、付加価値を高めることが重要となる。 ・日系企業は同一産業内にプレイヤーが多数存在しており、消耗戦を繰り広げている。 ・企業の起業率が廃業率を下回る状況が続いており、企業数の減少には歯止めがかかっていない。 ・ピラミッドの上に位置する大企業がグローバル市場で勝てなくなったことで、多くの中小企業は苦境に立たされている。 ・世界市場の伸びに伴い、日本のシェアが急速に縮小している。これは、特定企業や特定製品の問題ではなく日本企業の従来のビジネスモデル(垂直統合自前主義による商品改良・原価低減モデル)が限界にきていることが原因である。 ・過去に比べて、日本はあらゆる機能でアジアの中核拠点としての競争力を急激に失った。その理由は、①日本の事業コストが高い、②日本市場に魅力が欠けている、などがあげられる。 ・今後日本が発展していくためには、産業構造を大きく転換しなければならない。例えば、①グローバル競争を優位に進める、②特定グローバル事業以外の産業を新興国など海外マーケットにつなげていく、③社会課題を先取りした産業(環境・エネルギー、少子高齢化対応ビジネス)を成長させる、などである。
個人的には、潜在失業率について触れられているのが、意外に感じた。日本の完全失業率は一桁台で、先進国では非常に低い数値と言われるが(4月30日現在は4.1%)、実は、これは働く意欲をなくした者等を除外した数字のマジックという一面は否定できない。国の役人は他国へのメンツもあって失業率を下げようとやっきになっているのだが、役所が作成するレポートで「装飾した数字」ではなく、本当の失業率をオープンにするのは珍しい。 日本の失業率は10%以上!?各国の失業率定義|注目すべき経済政策 本レポートの結論はつまるところ、「少子高齢化で国内市場が急速に進むため、企業はグローバル展開して新興国の成長市場等で外貨を稼いで、これらを国内で所得分配していくのが理想的」ということ。それは隣国の韓国が成功させたビジネルモデルでもある。ただ、家電市場ではすでに遅れをとっており挽回するのは容易ではなく、それ以外の産業(インフラ系・コンテンツ系等)がその役割を担うことが期待されているのではないかと。 このレポートは、3年前に発表されたものだが、昨年あたりからパナソニックやシャープの経営危機が顕在化しているように、まるで現在の日本企業の苦境を予言したかのようである。 2.社会経済に関する知識 よく他人には、企業法務担当者はオタクのように法律知識だけを勉強していると思われるのだが、そのようなことはない。もちろん、企業法務担当者にとって一番の「商売道具」は、法律知識ではあることは確かだが、その前にビジネスパーソンとして社会経済に関する知識も深める必要があるかと。 そういえば、前職の上司が「法律というものは、社会経済の動きを後追いして成立・改正されるもので、その逆のケースというものはそうそうない。従って、企業法務担当者は、日常より社会・経済知識にも造詣を深めなければならない」と発言していたことがあった。これはもっともだと思う。例えば、現在企業法務担当者の最大の関心事である債権法の改正作業が進んでいるが、これは、まさしく今の債権法(民法)が世の中のトレンドと大きく乖離している部分が見られるからである。こうした問題が債権法改正の発端となっているのは、疑いようがない事実だ。 かくいう私も、折りをみて経済系の書籍や雑誌(週刊東洋経済週刊ダイヤモンドなど)にもなるべく目を通すようにしている。このように法律や経済等についてバランスの良い知識を身につけることは、企業法務担当者としての「総合力」を向上させることにもつながるのではないかと考えている。
池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる
池上 彰 テレビ東京報道局

日本経済新聞出版社 2012-03-24
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