企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【資格】食えない士業のリアルとは/今の時代、資格を取得すれば人生安泰というわけではありません

1.新人司法書士のリアル 先日、たまたまコンビニで買い物をしたついでに、雑誌をパラパラとめくっていると、「週刊SPA!」で以下のような記事を発見した。 司法書士、30歳を過ぎても年収200万円台はザラ 私も司法書士事務所に勤務経験があるので、思わず見入ってしまったが、その要点は以下のとおり。
・資格を取得したばかりの新人司法書士司法書士事務所に勤めた場合、前職のキャリアを問わず「新人」とみなされるため、決して高待遇ではない。例えば、前職より年収が下がるケースもある。 ・それがイヤならば、独立開業するしかないのだが、昨今の経済環境の中ではリスクも大きく、それもままならない。 ・生活苦や予備校の歌い文句に反する実態に失望してこの業界から足を洗う司法書士もいる。
現役受験生がこの記事を読めば、やる気を失くしてしまいそうだが、目を背けてはいけない。厳しいがこれが「現実」なのだ…。なお、この記事は決して誇張ではなく、生活総合情報サイトAll Aboutでは、受験予備校の現役講師が勤務司法書士の年収について以下のとおり言及している。 勤務司法書士の年収・月収 [司法書士試験] All About そういえば、かつて私が勤務していた事務所にも試験に合格したばかりの人が何人か有資格者として入所してきたが、月給は20~25万円だったようだ(しかも、社会保険なし)。ただ、ボーナスは一応支給されていたので、年収ベースで考えると、おおよそ280~350万円ぐらいだろう。事務所には、元銀行勤務経験者もいたが、この人物の年収は前職に比べて大幅ダウンしていたのは間違いない(その人物は1年ほど経験を積んでから、独立していった)。 また、本記事では、他にも本業よりアルバイトで稼ぐ土地家屋調査士や仕事を求めて過疎地を漂流する弁護士などが紹介されており、「先生」と呼ばれるはずの士業の悲惨な実態が紹介されている。こういった資格は世間的には合格率は数%の難関資格とされており、合格のためのかなりの時間とお金を費やしたのに、結果が「これ」では本末転倒のような気がするのだが…。 この手の記事を目にすると、私がいつも思い出すのが元同僚のMさんである(本ブログでも何回か触れている)。Mさんは、放射線技師という仕事をしながら、司法書士試験にたった1回で合格し、事務所に入所してきた。しかし、待遇が満足できるものではなかったのか、わずか半年ほどで退職してしまった。日本司法書士連合会の会員検索で名前を探しても見つからないので、私はMさんはおそらくこの業界からは完全に足を洗って、元の業界に戻ったのだろうと推測している。まさしく上記記事でも紹介されている「1年もたたずに出戻り」というケースである。 司法書士検索・司法書士法人検索 2.予備校のホンネとタテマエ 司法書士の受験予備校のHPには、自社の受験講座を訪問者にアピールするべく「合格者の声」「合格体験記」などと銘打ったコーナーを設けているが、上記記事のように年収面の現状などの資格のネガティブな側面については全く触れていない。その理由はいたって簡単で、その資格の「悪い面」を知らせてしまうと、受講生が集まらないからだ。(かつて、予備校の宣伝文句で、「年収1,000万円以上を目指せます!」等の宣伝文句をよく見かけたものだが、現在は景品表示法を意識しているのかそのような誇大広告は見かけない) 司法書士について|司法書士|司法書士試験|LEC東京リーガルマインド 司法書士試験の辰已法律研究所 Wセミナー/司法書士 司法書士試験|伊藤塾 昔は「2ちゃんねる」などの掲示板サイトというものが存在しなかったため、ユーザはこういった受験予備校が発信する「良い情報」しか触れる機会がないため、つい信じ込まされるケースが多かった。しかし、現在はインターネットの発達で業界関係者のリアルな情報が比較的容易に入手できるようになったので、これからこのような資格に取り組もうという方は、受験予備校の発信する情報のみを信じるのではなく、きちんと裏づけをとることをお勧めしたい。なぜなら、難関資格の勉強に取り組むということは、かなりの時間と労力をつぎ込むことになるからだ。 これは、何も資格勉強だけに限らず、マンションや車などを購入する際のB to C取引の全てにあてはまるだろう。彼らも営利事業者なので、ユーザに対して都合の悪い情報は伏せて、良い面のみをアピールして、なんとか自社の商品やサービスを買わせようとする。私自身も以下のとおりそのような場面に遭遇したことがある。 【仕事術】「事実」を正しく把握することの重要性/仕事であれ、プライベートであれ、これは大切かと。: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 【プライベート】引越しを行う際の7つの留意点/これから引越しシーズンを迎えるにあたって: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 3.まとめ 元同僚のMさんは、放射線技師というレアな資格を有していたため、すんなりと元の業界に戻れたが、昨今の不況の中では、普通のビジネスパーソンにとって、それはそう簡単なことではない。苦労して資格を取得してその業界に飛び込んだにもかかわらず、予備校が宣伝していた「バラ色の未来」と違うことに気づいて愕然とする…。そういった「ミスマッチリスク」があることを忘れてはならない。それを回避するためには、良い面や悪い面を含めて、その資格の「リアル」についてしっかりと情報収集した上、今後のキャリアプランをしっかりと練ることが必要だ。その上で覚悟を決めて勉強に取り組んでいくしかないと思う。
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