1.私とズッコケ三人組
先日地元の図書館にフラリと立ち寄って見つけたのがこの1冊。思わず「懐かしい!」
と思い、早速借りて読んでみた。
ご存じの方も多いと思うが、本書の前作「ズッコケ三人組シリーズ」は児童向け小説で、花山第二小学校6年1組の仲良し三人組、気が短くておっちょこちょいだけど、どこか憎めない八谷良平(ハチベエ)、頭脳明晰だけどトイレにこもって本を読む変な癖がある山中正太郎(ハカセ)、のんびり屋で周囲をなごませる奥田三吉(モーちゃん)が繰り広げるドタバタ冒険譚だ。
そのストーリーは、文化祭や修学旅行など身近な学校生活をテーマにしたものから、主人公達が無人島に漂流したり、タイプスリップしたり、宇宙人と遭遇したりと、本当にバラエティ豊かである。 私は小学生高学年ぐらいの時期にこのシリーズに夢中になり、合計15冊ほど読破しただろうか。当時はこのシリーズと東京創元社や社会思想社のゲームブックが私の愛読書であったことは今となっては懐かしい話。
このズッコケシリーズは、アニメ化やドラマ化もされているため、おそらく読者の皆さんも小学生の時ぐらいに一度は本シリーズを読まれたことがあるかもしれない。(ちなみに私と同世代の妻に聞いてみたところ、「タイトルは知っているけど、読んだことはない」との事) 中学生になってからの私は、「ロードス島戦記」「ドラゴンランス戦記」などのファンタジー小説や「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」「創竜伝」などで有名な田中芳樹作品を読むようになったので、このシリーズはパタリと読まなくなってしまった。
2.あのズッコケ三人組が不惑を迎えて
この新シリーズでは、彼らは40歳になり、ハチベエはコンビニ店主、ハカセは中学校の先生、モーちゃんはレンタルビデオショップの店員という職業についている。何十年振りにズッコケを読んだが、登場人物は作中で年齢を重ねているものの、世界観はあのままで懐かしい限り。本作前半では、ハチベエが同級生(マドンナ三人組の一人である安藤圭子)と結婚しながら、スナックのママとの浮気を試みるなどすっかり年相応の行動パターンをとっているが、それが何の違和感がないため、思わずニヤリとくる。
本伝ともいうべき「ズッコケ三人組シリーズ」は、1978年の「それいけズッコケ三人組」から2004年の「ズッコケ三人組の卒業式」まで合計50冊が刊行されている。そして、最終巻の発売から1年後の2005年から後日談として中年組シリーズが刊行されている。前作ではサザエさんのように登場人物は年はとらないという設定だが、中年組シリーズでは、発刊のたびに主人公達も1年ずつ年を重ねており、中年組シリーズも第9作である「ズッコケ中年三人組age48」まで刊行されている。 私がズッコケ少年組に出会った頃は小学生だったが、卒業と共にいつの間やらその存在を忘れていた。そして、こうしてズッコケ中年組に「再会」したときには、私も彼らの年齢に近くなっており、その奇妙な符号に縁を感じる次第。
続きが気になるので、この中年組シリーズを読んでみようかと考えている今日この頃だ。