企業法務担当者のビジネスキャリア術

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【書評】「オレたちバブル入行組」池井戸潤(文藝春秋)/あの大ヒットドラマ「半沢直樹」の原作小説を再読しました

1.原作を再読
昨年7~9月に放送されて大ヒットしたドラマ「半沢直樹」の記憶はまだ新しいところ。 kigyouhoumu.hatenadiary.com

私は、おととし頃に図書館で原作の「オレたちバブル入行組」を借りて、東京出張時の新幹線の行き帰りで読んだことがある。あれからだいぶたったが、たまたま地元図書館で本書を見つけたので、通勤時間を利用して再読してみた。 

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

 

 ドラマが終了して、あらためて読み直すと、読者がスカっとする面白い小説である。やはり、クライマックスは、東京中央銀行 大阪西支店の浅野支店長がすべてが明らかになった後に半沢に土下座して謝罪する場面か…。半沢は、当初浅野を刑事告発して破滅させるつもりだったが、たまたま浅野の妻に会ったので、手心を加えることになったのは、ドラマ版と同じ。

2.原作とドラマとの違い
ドラマはおおむね原作に踏襲しており、基本的な流れには変更はないのだが、細かいところで以下のような微妙な相違点があり、それを見つけるのもまた面白い。

①(ドラマ)半沢の妻、花は気がしっかりとした夫思いで、アルバイトをして半沢にカバンをプレゼントするシーンがある。
→(原作)原作ではそのようなシーンはない。夫婦仲は悪くないが、東田に5億円をだましとられてピンチの半沢に「しっかりしてよね」と励まして、半沢もタジタジとなる。(尻にしかれているのはドラマ版と同じ)

②(ドラマ)東田の愛人である未樹にエステショップを開業するという夢があることを知った半沢は、自ら事業計画書を作成し、未樹を懐柔するシーンがある。それによって、半沢は東田の隠し財産を特定することができた。
→(原作)そのようなシーンはなく、淡路鉄鋼の板橋社長と愛人関係を半沢と竹下に脅迫されて、隠し財産を半沢にリークした。

③(ドラマ)半沢の父は会社倒産の危機に陥った際、首吊り自殺してしまう。
→(原作)東京中央銀行に融資を断られた会社は倒産の危機に陥ったが、地元の第二地銀のおかげで息を吹き返し、そのまま社長として会社を経営している。

このように細かい箇所で原作との相違点はあるのだが、うまく脚色したおかげでドラマは大ヒットしたのだろう。むしろ、忠実に映像化したら本作の魅力がそこなわれたかもしれない。そのようなわけで、原作をドラマの「関西編」としてうまくまとめたと思う。

3.まとめ
学生時代はミステリ、SF、ファンタジー小説をよく読んだ私だが、よもやこのような企業小説を読むようになるとは想像もしなかった。自分がビジネスパーソンとなると、興味や関心は企業の群像劇に向いてしまうのかもしれない。池井戸潤は、銀行業界を中心に企業小説を多数を書いているので、ビジネスパーソンならば「半沢」に限らず、他の作品を一読することをお勧めしたい。