1.「アルスラーン戦記」との出会い
一昨年に本ブログで田中芳樹原作のスペースオペラ「銀河英雄伝説」について触れたかと思う。
以前に述べたとおり私は学生時代の一時期に田中芳樹の小説にハマってほとんどの作品を買い揃えていたことがある。例えば、以下の作品は同氏の代表作とされるものだ。
そろえた田中作品は30~40冊ぐらいになったと思うが、私が結婚して実家を出る際に物置に置きっぱなしにしている間に気がつけば親に全て捨てられていた(泣)。従って、現在手元には1冊も残されていないが、私が初めて購入した田中作品がこちらの1冊。
当時学生であった私は、「ロードス島戦記」「ドラゴンランス戦記」「指輪物語」などのヒロイックファンタジー系の作品をよく読んでいたのだが、たまたま立ち寄った本屋で「アルスラーン戦記」に同じ感触を覚えて、試しに購入してみたところ、その面白さにはまり、次々と田中作品を買い集めるようになったのだ。
しかし、オリジナルの角川書店版の「アルスラーン戦記」は、1986年に第1巻「王都炎上」が発売されて、1999年に第10巻「妖雲群行」を発売された後にパッタリと続編の刊行が途絶えてしまい、私はこの作品の存在をすっかり忘れていた・・・。その後、なかなか続編が出ない状況に角川書店が愛想をつかしたのか(?)、版権が光文社に移り、こちらから復刻版と続編(現在14巻まで)が発売されている。
2.地上波でアニメ放送開始
そして、この4月から毎週日曜日にMBS系の放送局でこの小説を原作にしたアニメ版「アルスラーン戦記」が放映されている。
ストーリーは、以下のとおり。
東西を結ぶ陸路の中心・エクパターナに都を置く強国パルスは、その豊かな土地や文化を狙う異教徒の国・ルシタニアから侵攻を受ける。「アトロパテネの戦い」でパルスは大敗、若き王太子・アルスラーンは国を失うが、「戦士の中の戦士」と呼ばれる万騎長・ダリューンらの助けを受けて、王国奪還を目指していく・・・。
本作は架空世界を舞台にした国家の興亡を描いたもので、個性豊かな登場人物が様々な物語を織り成す群像劇である。簡単に説明すると、中世ペルシアを舞台にした三国志+水滸伝のような感じ。ただ、先にあげた「マヴァール年代記」が純粋な国家の興亡を描いているのに対して、「アルスラーン戦記」には魔道や妖魔も登場し、ファンタジー的要素が多分に盛り込まれている。本アニメは、「鋼の錬金術師」「銀の匙」の荒川弘の漫画版がベースになっているが(現在も連載中)、コミカライズは過去に中村千里(角川書店)で一度行われており、私は全巻保有していたこともあるぐらいだ。また、私は見たことはないが、「アルスラーン戦記」は過去に劇場版やOVAとして一度アニメ化されたこともある。
従って、漫画化・アニメ化ともに二度目となるが、地上波でアニメ版が放映されるとは、過去の原作をリアルタイムで読んでいた読者としては想像もつかなかった事でなにやら感慨深い。というわけで、かつての原作愛読者としては、復習の意味をこめてこのアニメを第1話から鑑賞している。アニメ版は全24話らしいが、アルスラーンが仲間の助けを得てルシタニア軍から国土を解放するまでの第1部を全て描写するのは少し厳しいような気がするが・・・。続編ありきの話かもしれない。
かつての田中芳樹ファンとしては、代表作である「アルスラーン戦記」がアニメという媒体で多くの人に触れる機会が設けられたことを嬉しく思う。原作自体は、再び買いなおそうとまで思わないが、図書館等で見つけたら再読してみたい。