企業法務担当者のビジネスキャリア術

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【書評】「資格取得にちょっと待った!資格ビジネスに騙されないために読む本」須田美貴(鹿砦社)/資格取得=人生バラ色ではありません

1.某資格予備校勤務経験者の暴露本?

先日図書館で興味深いタイトルの本を見つけたので、さっそく借りて読んでみた。著者は某大手資格予備校で社会保険労務士を取得して、一時期その予備校で勤務していたことがあるらしい。 

資格ビジネスに騙されないために読む本

資格ビジネスに騙されないために読む本

 

これから資格を取得しようという人のために 本書の内容を簡単にまとめると、以下のとおり。

・資格を取ったからといってバラ色の人生が待っているわけではない。資格予備校が受講生を呼び込むために、誇大広告を行うケースがあるので、要注意。
・資格を取ることはゴールではなく、スタートに過ぎない。合格者は資格を活かして、いかに自分の人生をより良くするかを模索しなければならない。
・資格予備校は、実務経験がない合格者を対象に開業講座を開くことが多い。(ヒヨコ食い)
・資格を活かしたいと思っている人は、本当に自分がやりたいことは何なのかよく考えた方がよい。

私の友人・知人には、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士・行政書士などの有資格者が幾人かいるが、資格を活かして活躍している人やそうでない人など本当に様々だ。

後者の例をあげると、社会保険労務士の資格を持っているAさんはフリーターをしており、行政書士の資格を持っているBさんは独立開業に失敗して、現在はサラリーマンとして法律とは無縁の全く別の仕事についている。結果として、AさんやBさんは時間とお金をかけて取得した資格を全く活かしきれていない。身もフタもない言い方だが、単純に資格予備校を儲けさせただけだ。

こうした事例からも、資格取得者の全員が決して「資格を取ってバラ色の人生を送っている」わけではないことがうかがえる。そのようなイメージを植えつけようとするのは、受講生を一人でも呼び込みたい資格受験予備校ぐらいだ。 私も20代の一時期に某難関法律系資格にトライしていたことがあり、そのきっかけは、そうした予備校の宣伝戦略にまんまとひっかかってしまったからだ。当時は、インターネットの匿名掲示板などがあまり発達しておらず、その資格の「本当の姿」はオブラートにくるまれており、現在のように実務経験者の声を入手することは容易ではなかった。

しかし、現在はインターネットで実務経験者の声を容易に入手できるので、受験生は本当にその仕事をやりたいのか、メリットやデメリットの双方を考慮して、資格勉強に取り組むかどうかを決断することをお勧めしたい。

2.おまけ

ふと考えるのだが、資格があっても仕事がデキない人はデキないし、資格がなくてもデキる人はデキる。結局のところ、年をとればとるほど、人生の世渡りに際しては、形式的な資格云々の有無より、本人の全人格的な人間力(考え方・行動力・リーダーシップ・習慣・コミュニケーション・気配り・ユーモアなど)が問われるような気がする。これは、私自身が企業法務担当者を長年やっているためか、比較的上位のポジションにいるビジネスパーソンに会って感じさせられたこと。

いわゆる「優秀なビジネスパーソン」は資格に頼らずとも、コンスタントに優れた実績をあげているし、むしろ、ビジネスパーソンとしてハイパフォーマーでいること自体が「見えない資格」を有しているようなものではないだろうか? 私の知り合いには某国家資格の受験を長年取り組んでいる人がいる。取得の目的を聞いてみると、「手に職をつけたい」とのこと。本気で取り組めば、会社員でも専門性を極めることはできるだろうに・・・。