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【書評】水野良「新装版 ロードス島戦記1 灰色の魔女」(角川書店)/国産ファンタジー小説の金字塔的作品

1.国産ファンタジーの名作

年末年始に図書館で様々な本を借りて読んだが、そのうちの一冊がこちら。

 

新装版 ロードス島戦記    灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)

新装版 ロードス島戦記 灰色の魔女 (角川スニーカー文庫)

 

 
タイトルの冒頭に「新装版」とあるように、オリジナルは28年前の1988年に角川書店のスニーカー文庫の一作品として刊行されたものだ。本作は、剣と魔法のファンタジー世界フォーセリアを舞台にしたもので、アレクラスト大陸の南に位置するロードス島で繰り広げられる英雄群像劇を描いている。

 

本作のルーツとなったのは、「コンプティーク」というパソコン雑誌に連載されていたテーブルトークRPGのリプレイ集で、それをグループSNEの水野良氏が小説化した。「ロードス島戦記」は、同氏の処女作ながら、朴訥かつ丁寧な書き口で当時は子供だった私にも読みやすかった作品である。中でも戦闘シーンはRPGを意識してか剣と魔法の描写が巧みで、28年前に初めて読んだ私は、その世界観に没頭したもの。本書はファンタジー小説が確立していなかった当時の金字塔的な作品であり、それ以降の小説やゲームに多大な影響を与えたとされる(例えば、エルフの耳の形が細長いというビジュアルイメージは本作が起源とされる)。従って、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」などでファンタジーに興味を持った今の若い人でも楽しめると思う。

なお、「新装版」とあるように、オリジナル版にいくつか加筆修正されている箇所がある。私がわかったのは、暗黒皇帝ベルドと傭兵王カシューの一騎打ちのシーンだが、これだけでも旧来のファンは一読の価値があるというもの。実は他作品で明らかにされているが、カシューはアレクラスト大陸で剣闘士奴隷をしていた時期があって、それを連想させる描写には、私のような旧来のファンにはニヤリとさせられるだろう。

小説版「ロードス島戦記」は7巻で完結するが、その前史を描いた「ロードス島伝説」、後日談を描いた「新ロードス島戦記」のシリーズが発売されている。また、別の出版社で発売されているクリスタニアサーガは、ロードス島のはるか南に位置する大陸が舞台になっており、ロードス島を追われたベルドの腹心アシュラムが重要な役回りで登場するなど関連性も強い。 ちなみに、私が子供の頃、買い揃えていたのは、「ロードス島戦記」の全巻と「ロードス島伝説」の3巻ぐらいとクリスタニアの1巻ぐらいだが、実家を出る際にそれらを物置に置きっぱなしにしていたら、いつの間にか親に捨てられていた(泣)。

2.「ロードス島」の他メディアへの展開

本作が発売された1988年といえばドラゴンクエストやファイナルファンタジーが大ヒットし、ファンタジー関連の小説やゲームブックが乱立し始めていた。学生時代に私がゲームブックにハマッたことは以前にも触れたとおり。

 

大ヒットを記録した「ロードス島戦記」は、その後ゲームやアニメなどの分野に展開していった。ビデオアニメ化もされたが、原作とストーリーが微妙に異なっており、私は途中で観るのをやめたが・・・。


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また、PCエンジンやパソコンなどにも何度かゲーム化されている。今年は、オンラインゲームも発売されるようで、その人気の息の長さには驚かされる。 

 


28年といえば、生まれた子供が成人するには十分過ぎる時間だ。発売されてブームになったが、すぐに飽きられてしまうのではなく、28年後の現在も引き続き新装版としてシリーズが発売されているという事実は、それだけ多くの読者層に支持されている証ではないだろうか。

私のように子供の頃に読んだ小説を大人になっても再読するというのは、これはこれで息の長い楽しみ方かもしれない。というわけで、これからも機会をみつけて水野良のロードスやクリスタニア作品を大人の立場で楽しんでみたい。