社内では、「Sabosanは敷居が低いのでなんでも相談しやすい」という評判があるらしく、私のもとには様々な相談が寄せられる。「アイツには死んでも相談なんぞしたくない」と思われるよりよほどマシで、一定の信頼感の裏返しと思えば、逆にありがたい話。もちろん、私としてもプロの端くれとして、出来る限り愛想よく応じて、迅速かつ的確なアドバイスを心がけている。
そんなある金曜日の夕方。私が自席で仕事をしていると、営業担当者のAさんから内線がかかってきた、なんでも「仕事以外のプライベートの事で、少し相談したいことがある」とか。何事かと思って対面で詳しく話を聞いてみる。すると、Aさんが近日一戸建てを購入するにあたり、最近締結したばかりの売買契約書で、確認したいことがあるらしい。
もちろん、「それは私の仕事ではありませんから」と断ることもできたが、ウン千万のローンを背負って、一戸建を建てるというのは、サラリーマンにとって一生に一度のイベントであり、人ごととは思えず、ついつい親身になって応じてしまった。その詳細はここでは書けないが、Aさんはとある事情によりこの案件をそのまま進めてよいか迷っているらしい。
その日はそれで終わったが、新たな相談が発生し、翌週の月曜日では手遅れになるため、翌日の土曜日の晩に再び相談に応じることになった。仕事は休みなので、Aさんには私の住んでいる街まで車で来てもらい、自宅近所のファミレスで待ち合わせをすることに。Aさんが言うには、「休日に会社の人と会うのは初めてですよ」との事で、私も全く同じ。
ファミレスで夕飯を食べてからフリードリンクを飲みながら、Aさんと打ち合わせを行うと、深夜まで時間がかかってしまった(謝礼として夕飯代はAさんのおごり)。帰宅すると、妻には「あなたもお人よしねえ」とからかわれたが、以下のような人生訓があるのを私は知っている。
「他の人に一生懸命サービスする人が、最も利益を得る人間である 」
「成功するためには、まず与えなさい」
「他者性志向をもって与える者(Giver)こそ、人生において成功する」
もちろん、それだけではなく、私自身が企業法務のプロフェッショナルとして、「プロである自分の納得感を追求したい」というのが最大の動機だろうか。まあ、少なくとも今回のAさんとのやりとりは、このとおり本ブログのネタとなっており、それでよしとしておこう。