企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【契約審査】契約締結~契約管理段階のプロセスについて/これは会社によって様々な運用方法がとられているようです

私のTwitterのフォロワーのお一人であるvofjtftuavvnn様より、契約管理に関するコメントを頂いたので、本ブログにおいて触れてみたい。(vofjtftuavvnn様、コメント&ツイートありがとうございました。) 1.契約交渉~契約管理に関するプロセスについて 契約交渉を開始してから、合意・調印を経て、保管に至るプロセスは、どの会社も以下のような感じではないだろうか。(相手方より自社定型書式を受領したところ、数度の契約交渉を経た上、合意成立後に当方より契約書に記名押印を行ったと想定)
<契約交渉段階> ①(先方法務)契約書を作成して(または標準書式をそのまま)、営業担当者に渡す ②(先方営業)当方営業担当者に契約書を渡す ③(当方営業)受領した契約書を当方法務担当に渡す ④(当方法務)内容を確認して、リスク対応のための対案(または付属覚書)を作成する。それを営業担当者に提示して、先方との交渉を依頼する ⑤(当方営業)相手方の営業担当者に対案(または付属覚書)を提示 ⑥(先方営業)社内法務担当者に提示して相談 ⑦(先方法務)内容に同意できるならば、営業担当に締結手続への移行を連絡。不可能ならば、さらなる変更案を作成する。→以降、合意に至るまで②~⑥の繰り返し <契約締結~契約管理段階> ⑧(当方社内)重要度・リスクが高い契約の締結を行う際には、社内上席者の承認を得る(稟議回覧) ⑨(当方営業)契約書2部を出力して、締結のための社内申請を行う。(場合によっては、法務担当の見解書を添付する) ⑩(当方社内)自社の記名押印を行う ⑪(当方営業)契約書2部を相手方に交付 ⑫(先方社内)受領した契約書2部について、先方サイドにおいて⑧~⑩と同様のプロセスを行う ⑬(先方営業)契約書1部を社内にて保管した上、残り1部を当方に交付 ⑭(当方社内)契約書原本を保管する。データベースに登録する。以後、契約期間に応じて更新作業等を行う。
2.契約締結~契約管理段階における法務部門のかかわり方 契約交渉段階において、法務部門が契約書の内容チェックにかかわるのは当然なのだが、⑧以降のプロセスにおいて法務部門がどのようにかかわるかについても、一つの課題である(vofjtftuavvnn様より相談のあったのもこのあたり)。ただ、これらのプロセスについては、会社の規模・組織形態・契約件数などによるため、「一概にこうするべき」、とは言えないのが現実なのだ。むしろ上記要素に応じて、会社ごとに適切な運用方法をとるのが望ましいのではないだろうか。 例えば、⑧~⑩、⑭は総務部門が所管している会社も多いだろう(実は私の前職企業がそうだった)。一方で、⑧~⑩は総務部門が責任をもって行い、⑭は営業部門で行う会社もあると聞く。そのまた一方で、法務部門で契約書を集中管理している会社もある。 ただ、全くの個人的な見解であることを了承して頂いた上、言わせて頂きたいのだが、私は契約交渉に限らず、契約締結~契約管理の全てのプロセスにおいて法務部門が可能な限り関与するべきだと思う。例えば、プロセス⑩において、当社サイドが記名押印する際に、調印直前の契約書について最終の法務チェックを行うことが必要だと思う。というのも、契約交渉段階において、いくら自社サイドに有利な条項修正に成功したとしても、それが漏れた状態で契約締結を行うとこれまでの苦労が水の泡になってしまうからだ。また、相手方が先行して記名押印した場合でも、契約締結権限者が不適切である可能性もゼロでは言い切れないのだ。 また、⑭についても、法務部門が契約書原本を一括集中管理することが理想的だと思う。締結済みの契約書とは会社にとって、取引相手方との合意事項を文書化した「契約情報」であり、類似レベルの情報は社内に分散化させるべきではなく、それらの内容を正確にジャッジできる部門において一箇所に集約した上、必要なときにいつでも参照できるように管理するべきだからだ。第一、そちらの方が契約期間の更新管理もやりやすい(なお、契約書データベースについては、以前の記事でも触れたとおり)。ただ、大手企業の中には、サーバ上に締結済み契約書を保管し、営業マンがそれを社内どこからでも参照できるようにシステム化している企業もあると聞くが、これは極めて少数の例だと思われる。 3.契約締結~契約管理段階における業務負担 上記のとおり、「契約締結~契約管理にも法務部門が積極的にかかわるべき」というのが、私の見解だが、そのためには当然ながら人的・時間的コストが発生してしまう。もし、それだけの人員を投入できる会社であるならば、法務部門における契約審査担当者○名が「契約交渉プロセス」を、契約管理担当者○名が「契約締結~契約管理」プロセスを分業化して行うというのが望ましいと考える(現職はそのように運用している)。 しかし、vofjtftuavvnn様のように組織的な人員が限られているならば、私の前職のように、「契約締結~契約管理」プロセスの全部または一部を総務部門などの別の管理部門に委託するのも一つの方法かもしれない。ただ、この場合、上記にあげたように、以下のようなリスクが生ずるおそれがあるのだが…。 ①修正要望箇所が適切に反映されないまま契約締結してしまうリスク ②相手方の契約締結権者に不備を生じたまま締結締結するリスク ③契約書の期間管理が適切になされないリスク 私も知人である他社の法務担当者複数人にこのあたりの取り扱いについて一度質問したことがあるが、その回答は本当に様々であった。このあたりは、会社ごとに運用スタイルが相当違っていると思われる。 <Vofjtftuavvnn様へ> 依頼部門からの依頼、ヒアリング、契約審査、交渉過程、最終案の確認、締結後契約書の管理などの流れについては、新日本法規出版の「類型別 契約審査手続マニュアル」(愛知県弁護士会)の「第2編 契約審査手続の流れ」がなかなか参考になります。現在、入手困難のようですが、オークションや古本屋などで見つけることができましたら、御一読をお勧めします。 http://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50639.html 「人気ブログランキング」参加中です!1クリックお願いします! にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 戦うサラリーマンへ
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