企業法務担当者のビジネスキャリア術

氷河期世代の企業法務担当者がライフログとして日々の出来事を記録しています。2009年に開始したブログは16年目を迎えました。

契約書

【契約書】旧来からの印鑑文化 vs 台頭する電子契約/法務部門マネジャーが語る、押印の未来と現実とは?

法務部門のマネジャーである立場上、会社の代表者印や会社印を押印する機会が多い私。一般的に、書類に自社印鑑を押印する作業は、法務部門や総務部門にとって重要な業務の一環であり、正確さと迅速さが求められる。しかし、近年の環境変化は古くからの印鑑…

【契約書】世界を震撼させたシステム障害から学ぶ!/契約約款の威力を体感した管理人から一言

1.世界的なシステム障害が発生 少し前の話になるが、7月19日にクラウドストライクのシステム障害により全世界レベルでWindowsが正常に起動しない不具合が発生。 www.youtube.com 影響は、医療・金融・鉄道・航空・放送など数多くの企業に波及し、日本でもU…

【契約書】Sabosan流 契約実務のテクニック/定型契約書の社内公開の秘策とは!?

1.最近読んだ契約本 企業法務の仕事の花形と言えば、業種や規模を問わず、契約業務なのは言うまでもない。かくいう私もこれまでの法務人生で数多くの契約書(和文・英文)を作成してきた。また、このブログを長年継続してきたせいか、文書力もかなり鍛えら…

【契約書】これが契約書管理の最新トレンド!/検索性に優れたSharepointを活用して契約書を管理する

今回は契約書ネタ。 締結した契約書をどのように保管・管理するかは会社によって様々だろう。いつかは忘れたが、BUSINESS LAW JOURNALの特集で複数の会社の契約書管理の紹介記事を読んだ記憶がある。その時は「会社によって色々だなあ」と興味深かったが・・…

【契約書】大規模通信障害に伴うKDDIの補償責任はどうなる?/過去に事業者とのトラブルで契約約款を熟読した立場より

1.大手キャリアで通信障害が発生 7月2日から7月5日にかけてKDDI系列の通信サービス(au、UQ mobile、povo)で全国的な通信障害が発生。全国規模で通信サービスが不能になったニュースで大々的に報じられたのは記憶に新しい。 k-tai.watch.impress.co.jp 本…

【契約書】リーガルテックの進化を実感/AIが契約書を審査する時代がいよいよ到来!?

今回は、久しぶりの契約書ネタ。 1.リーガルテックの進化に驚かされる 以前に英文契約書の審査時にAI翻訳サービスのDeepLについて触れたことがあった。利用してみると、Google翻訳をすら上回るクオリティの高さには驚かされたもの。私と仲の良い海外営業部…

【契約書】脱ハンコや印紙税見直しなどの動きが進む/企業法務にも大きな影響を及ぼすのは確実か!?

1.二つの規制改革 菅政権の発足後、河野規制改革担当相が様々な改革を進めているが、企業法務の分野にも大きな影響を与えそうな論点が二つある。 一つ目は、「脱ハンコ」。これは今春の非常事態宣言下において、ビジネスパーソンが押印のために出社する姿…

【契約書】契約相手の住所から連想するその土地の思い出/今振り返ると、あちらこちらに行ったものだ

少し前に私が制定に関与した某定型契約書を取引先に対して一斉に提示していたが、記名押印が完了した自社保管分が続々と返送されている。苦労して作成した契約書が数百~数千部印刷された上、北は北海道、南は沖縄までの全国の取引先に提示されて、戻ってく…

【契約書】取引基本契約書の品質保証責任条項に垣間見える会社のホンネ/不利な契約ならばあえて結ばない

コロナ禍の中、4月に施行された改正民法がまだ記憶に新しいところ。このような状況の中、販売先から取引基本契約書の改訂版の提示を受ける機会が多い。それらの改訂版に目を通すと、保証責任(契約不適合責任)条項において定められる保証期間について、以…

【契約書】政府が「契約書にハンコがなくても有効」という指針を公表/新型コロナウイルスが企業法務の分野まで影響を及ぼす!?

個人的には、企業法務担当者にとって、今年一番のニュースは4月に施行された改正民法だと思っていたが、どうやらそれは間違いだったようだ。6月19日にそれを上回る重大なニュースが飛び込んできた。日本国政府、法務省、経済産業省が「契約書はハンコがなく…

【契約書】吉本興業の闇営業問題がいつの間にか別の論点にすり替わる事態に/法務部は契約締結のため修羅場かと・・・

ここ連日、ニュース番組で吉本興業がクローズアップされている。当初は、某タレントによる闇営業問題をきっかけとして反社会的勢力との接点(報酬の授受)が論点となっていた。しかし、7月に当人が記者会見を開いたことから、社内の隠蔽体質や経営者のパワ…

【契約書】改元に伴う新元号への読み替えについて/常識の範囲内で臨機応変に対応するべし

5月1日をもって元号が「平成」から「令和」に変更されることについては、前回触れたとおり。 kigyouhoumu.hatenadiary.com そんな中、ある社内クライアントさんから「先日、取引先と締結した契約書において『契約期間は平成31年4月1日から平成32年3…

【契約書】熊本空港へのフライトのはずが福岡空港で降ろされる珍事!?/債務不履行責任と不可抗力免責との関係

1.天災が多かった1年 今年も残り3ケ月ほどだが、台風・地震・大雨と天災が多い一年だった。日本における経済活動、特に物流面に及ぼした影響も大きく、商品の引き渡しが遅延するなどの問題が各業界で生じていることだろう。自社でも例外でもなく、相談が…

【契約書】定型契約書の完成度でその会社の実力がわかる?/定型契約書は自社の法務レベルをあらわす「顔」のようなもの

私は、現在に至るまで企業法務担当者として、和文や英文を問わず、これまで多くの契約書を読んできた。そうして、長年にわたって様々な契約書を読み込んでいるうちに、その完成度に応じて以下の3つに分類できると気づくようになった。 ①レベルA(内容が非常…

【企業法務】国税庁から公開されている「印紙税の手引」が便利/初心者用によくまとまった資料です

企業法務担当者として、社内クラアイントから様々な相談を受ける内容の一つとして、印紙税法がある。例えば、「契約書や注文請書にいくらの印紙を貼付したらよいのでしょうか?」という相談は頻度が割と高い方。税金がらみなので、経理担当者の範疇という会…

【契約書】2019年5月の新元号変更に伴う影響とは/企業法務担当者にとって地味だけど重要

先日、ふとテレビでニュースを見ていて気になったこと。 2019年5月1日に新天皇が即位するに合わせて、「平成」の元号も変更されることになっている。 ここで、職業がら気になったのが、定型契約書の日付への影響だ。契約書によっては、契約の有効期間や契約…

【契約書】自分が作成した定型契約書を他社に完コピされる/これも評価の裏返しと好意的に考えたい

先日、社内クライアントから相談があって、取引先のA社から提示された秘密保持契約書(A社書式)の契約審査を依頼された。しかし、A社の契約書を読み進むうちに私と唖然としてしまった。これは過去に私が自社用に制定した秘密保持契約書と全く同じ文言だ…

【契約書】相手方の主張や意図が不明瞭な場合、具体的な代替案を要求する/スムーズに契約交渉を進めるには

1.契約交渉における一コマ 先日、ある取引先方に自社の定型契約書を提示したところ、営業担当者を通じて相手方より以下のような意見が寄せられた。 「第●条の●●という箇所は●●という感じに変更できないか。」 「契約書に●●について言及した条項を加筆する…

【契約書】他社から提示された契約書のうち参考となる契約条項を整理分類してストックしておく/他社のノウハウを「盗む」ことも有効かと

ここ最近のところ、法務に関する話題がご無沙汰だったので、久しぶりに契約書ネタを取り上げてみたい。 企業法務担当者として、取引の相手方から契約書を提示を受けて、読んでいると、「なるほど、この条項は上手にまとめられているなあ」と感心することがた…

【契約書】取引先との契約交渉が途絶状態の関連書類の取扱いについて/ある程度割り切って処分していくことが必要かと

新年度に突入してから早くも1ケ月が経過しようとしている。自社の組織変更や人事異動などの新しい職場環境にようやく慣れてきた人も多いと思う。 さて、年度変わりをきっかけに、私は、ある日に以前から気になっていた宿題に取り組んでいた。それは、過去に…

【契約書】自社の定型契約書を作成する際の5つのポイント/あくまで個人的な見解ですが・・・

今回は、久しぶりに法務がらみの話題を。 企業法務担当者は、社内クライアントから「今度、このような取引を継続的に行いたいのだけれど、定型契約書を作成して頂けませんか?」という依頼を受けることがある。逆に法務サイドから反復的な取引が多い場合、所…

【契約書】契約書の綴じ方に関する一考察/こちらも会社によって様々ですね

今回は久しぶりに契約書ネタを一つ。 職業柄、各社より提示される様々な契約書に触れる機会があるのだが、契約書の綴じ方には様々なケースが見受けられる。例えば、以下のとおり。 ①クリップでとめているだけのケース②ホッチキスでとめているケース③製本ラベ…

【契約書】企業法務担当者が契約書を作成・審査する際に意識するべき7つの視点/非常に基本的ですが、それだけに大切です

私は、企業法務担当者として日々さまざまな契約書を作成・審査するにあたり、常に意識しているポイントがある。 ①Who(誰が) 取引を行う会社は自社とどのような会社か。他に関与する会社は存在しないか。 ②When(いつ) 取引はいつスタートしていつ終了する…

【契約書】自社定型契約書に対する取引先の様々な対応について/相手方の要求をきちんと記録に残しておき将来の改訂に役立てる

基本的には自社における定型契約書の制定に関しては、企業法務担当者である私がその全てに関与している。従って、全国の営業担当者より定型契約書に関する問い合わせを受けた場合、それに対応するのも私である。例えば、「取引先よりこの条項をこのように変…

【契約審査】契約書のアナログ・デジタル管理に関する一考察/自社の実態に合致した方法を模索し、改善・改良を続けることが大事です

以前に締結済みの契約書を法務部門が一元管理することの重要性について触れたのが、今回は、より具体的に「契約書をどのように管理するべきか」について別の面からも触れてみたい。 【契約審査】契約締結~契約管理段階のプロセスについて/これは会社によっ…

【契約審査】契約交渉は粘り強く行うべし/しかし、それでも合意に至ることができない場合は?

1.自社対案に対する回答 法務担当者にとって、相手方から提示を受けた契約書について契約審査を行い、相手方に対して対案の提示を行うことによって契約交渉を行うことは日常茶飯事である。そして、短期間にお互いの対案を提示し合って、条件合意に至るのが…

【契約審査】契約当事者の記載ミス例/地味ではあるが留意するべき箇所です

企業法務担当者ならばご存じのとおり、当事者間において取引契約書を締結する場合、契約書の末尾箇所に当事者の表示を適切に記載しなければならない。具体的には、①住所、②商号、③代表者とその職位を記載しなければならないが、日々契約書をチェックしている…

【契約審査】契約書前文の「甲」「乙」の順番にこだわる/世の中にはいろいろな会社もあるもんです

1.契約書前文における表記 今回は久しぶりの契約書ネタ。 法務担当者ならばもちろん、営業担当者でも契約書というものを取り扱ったことがある人ならば、契約書の冒頭において、その当事者を以下のとおり記載することはご存知であると思う。 ABC会社(以…

【契約審査】契約書最終案も締結まできちんとチェックすることの大切さ/これまでの合意内容が適切に反映されていない事例

1.とある契約交渉事例 少し以前のケースだが、ある取引先より提示された取引基本契約書について、自社にて対案を作成して、何回かの交渉を経て最終合意に至ったということがあった。そして、相手方より「これまでの交渉結果を反映させた最終案を送りますの…

【契約審査】現在情勢下において重要性を増した条項/不可抗力免責条項について

1.不可抗力免責条項とは 不可抗力免責条項とは、継続的な商取引契約書において使用されることが多い契約条項の一つである。その趣旨は当事者のコントロールを越えた事由(例えば、戦争・暴動・ストライキ・地震・台風・洪水など)によって契約上の義務履行…