企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【契約書】相手方の主張や意図が不明瞭な場合、具体的な代替案を要求する/スムーズに契約交渉を進めるには

1.契約交渉における一コマ

先日、ある取引先方に自社の定型契約書を提示したところ、営業担当者を通じて相手方より以下のような意見が寄せられた。

「第●条の●●という箇所は●●という感じに変更できないか。」 「契約書に●●について言及した条項を加筆することはできないだろうか。」

どうやら、相手方は自社の定型契約書をそのまま受け入れるつもりはなさそうで、それはそれで致し方ない。企業法務担当者の業務ではよくある話。しかし、相手方が当方に対して具体的な対案を提案しているのではなく、あくまで意見や要望を小出しで提示しているに過ぎない場合は、少々やっかいな話。このような中途半間な状態で、こちらで相手方の意図を推測して、「貴社は第●条を『●●』と変更することを希望するのか?」と打診して、相手方の回答を待つのは非常に時間と手間がかかる作業だ。このようなケースに遭遇した場合、私は自社の営業担当者を通じて以下のとおり相手方にある要求を行うことにしている。 

「貴社が当社の契約書に疑義を有していることは了解しました。それならば、貴社が希望する具体的な代替案を当社にご提示頂けないでしょうか。付属覚書などを作成して頂けますと、大変助かります。」

その上で相手方から具体的な代替案が到着するならば、当方としても願ってもないこと。あとは、いつもどおり自社の契約審査方針に基づいて相手方案書をチェックして契約交渉を進めればよい。このように、相手方の自社に対する要求が不明瞭な場合、相手方に具体的な代替案の提示を促せば、当方も相手方の意図を推し量ることに余計な手間をかけなくて済む。

2.代替案の重要性
この代替案だが、なにも契約交渉の場合のみ必要とされるのではない。社内の人間と打ち合わせを行った際に、相手方の意見に反対する際も必要となるアクションだ。例えば、社内会議において、ある発言に反対意見を主張する場合、ただ単に反対である旨を申し立てる行為に終始するのではなく、同時に代替案もセットで提示することを忘れてはならない。そうすれば、その代替案をもとにさらに議論を進めて、会議をより建設的な方向に導くことができる。

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このように、状況を問わず「他に代わりとなる良い案はないか」「改善する余地はないか」というように、常に代替案を模索する姿勢を持つことは、企業法務担当者に限らず、ビジネスパーソン全般にとって重要なスキルだと思う。