1.良質なドキュメンタリー番組
私がよく見ているテレビ番組にNHK の
「ドキュメント72時間」がある。タイトルどおり、スタッフが72時間(=3日間)にわたって、同じスポットの映像を撮り続け、そこに集う人々の人生模様を紹介するというコンセプト。
8月13日にNHK-BSで放送されたのは2019年に放映されたアンコール選だった(コロナ禍のためか最近は再放送が多い)。その内容は、2019年8月に熊本県の阿蘇山の草千里ヶ浜で開催されたイベントで、日本全国からバイクライダーが集結して、撮影会を行う様子が紹介されていた。初めて知ったが、このイベントは1979年を皮切りに、1989年・1999年・2009年・2019年と10年に1度の割合で実施されているらしい(ということで次回は2029年予定)。
kusasenri.jp
このイベントに参加する人たちの職業・年齢・住所はまちまちだが、バイク好きというのが共通点。中には、1979年の第1回から毎回参加している猛者・生死をさまよう難病を患って生還した人・夫婦で仲良く参加している二人・夫を病気で亡くした女性など様々な人がインタビューに登場し、様々な人生模様を垣間見ることができる。
2.どこかで見覚えがある景色・・・?
最初テレビを見ていて「なんか見覚えがある景色だなあ」と感じた私。思い出したけれど、このイベントが開催される3年前(2016年11月)に私はこの草千里ケ浜を訪れている。 といっても、私の場合、彼らのようにバイクではなく自転車(ロードバイク)で3時間以上かけて阿蘇山を駆け登ったのだ。
3.熊本を訪れたついでに阿蘇山へ
当時の私は、金曜日に大阪から熊本に仕事で出張する機会があった。新幹線で熊本入りして仕事が終わった後に熊本駅前のビジネスホテルに宿泊。翌日が土曜日だったので、JR熊本駅から大分方面のシャトルバスに乗車し、JR阿蘇駅で下車(当時は熊本地震の影響で熊本~大分間のJR豊肥本線は不通だった)、阿蘇駅のコインロッカーに荷物を預けてから駅近くのゲストハウスで自転車(ロードバイク)をレンタルした。その時の自転車がこちら。
そして、駅前から南方面の阿蘇山 草千里ケ浜を目指してサイクリングを開始。最初はうっそうとする林の間を通過するが、途中からは視界が一気にひらけて、阿蘇の大パノラマが眼下に開けてくる。途中では牛が放牧されている場所もあり、なんとも牧歌的な風景が広がる。これらは都会では目の当たりにできない光景。
当日は秋晴れの良い天気で、絶好の行楽日和だったが、草千里ヶ浜に向かう車を時折見かけるぐらいで、サイクリストは私一人。都会の喧騒とは無縁の静寂の中、この光景を一人占めしながら登り続けて、ある程度の標高に到達すると、風がビュウビュウと吹く音しかしない。このような広大な空間に自分一人しか存在しないことが信じられないくらいだ。途中の登り休憩中にスマホで撮影した動画も貼り付けておこう。動画の最後の方で大きな風音が聞こえる。
4.ついに草千里ヶ浜に到着
そうして、途中で何度か休憩をはさみながら3時間以上ペダルをこぎ続けてやっと到着したのが、今回の番組で放送されていた草千里ヶ浜。さすがに自転車とはいえ、これだけの時間を要するとは予想外だった。苦労して到着した草千里ヶ浜は、あたり一面がのどかな草原地帯で、馬が放牧されていた。頭上には大きな雲があり、のんびりと風に流されてゆく・・・。
さらに、草千里ヶ浜を南に歩くと鳥帽子岳という小高い山があり、ここから眺める周囲360度の大パノラマは圧巻の一言。まさしく、今自分は「九州のへそ」に立っていることを実感する。ここに来て本当に良かったと実感するひととき。
その後は近くの店で購入したおにぎりを食べながら、一時間半ほど草千里ヶ浜でたむろしていただろうか。帰りの新幹線の関係で、あまりのんびりとできないので、再び自転車に乗って、帰り支度をする。草千里ヶ浜からの下り道は楽勝で、ジェットコースターのように同じ道を一気に駆け下りたのは楽しかった。草千里ヶ浜から40分ほどでJR阿蘇駅に到着し、ゲストハウスに自転車を返却する。JR熊本行きのバスが到着するまで一時間ほどあったので、駅前の温泉施設で汗を流した。
そうして、一息ついてからシャトルバスに乗って、再びJR熊本駅に戻り、九州新幹線に乗って新大阪まで帰阪した。ちなみに、JR熊本駅構内のコンビニで購入したくまモンのコースターは今でも自室で愛用している旅の思い出の品。
新幹線で熊本から新大阪までの所要時間は3時間ほどで、阿蘇山へのサイクリングで疲れ切っていた私は、帰りの車中で爆睡していたのは言うまでもない。新大阪に到着したのは午後8~9時ぐらいだったか。
ちなみに、この日の出費は、シャトルバス代・自転車レンタル代・おにぎり代ぐらいで、あまりお金がかからないエコな熊本観光となった。おそらくもう二度と阿蘇山に行く機会はないだろうけど、出張を利用して阿蘇山をサイクリングしたのは、今でも忘れられない一生の思い出だ。
5.まとめ
NHKの「ドキュメント72時間」は、これまでの放送回では、
- 携帯電話の修理店
- 廃業前の24時間営業のゲームセンター
- 宝くじ売り場
- 東京銀座のおつまみ屋
- コインランドリー店
- 大阪難波の高速バス待合室
- 能登半島の桜並木の名所
- ニュータウンのクリーニング店
など様々なスポットに集う人々の人生模様を紹介している。この番組には、有名人やタレントなどは一切登場せず、ウソやヤラセが感じられない良いドキュメンタリー番組だと思う。様々な人が、様々な悩みを抱えながら人生を送っている姿が垣間見えて、見ているこちらもジーンと感動させられることもしばしば・・・。
エンディングで流れる主題歌にも、もの悲しい哀愁感や寂寥感(?)が漂っていて、この番組の雰囲気にうまくマッチしている。この主題歌を聞くと自然とこの番組を思い出す名曲。
毎年年末になると、NHK特番で「ドキュメント72時間」のその年の傑作選を放送するのは恒例行事で、私も毎年チェックしている。はっきり言って民放のしょうもないバラエティ番組を見るよりよほど有益なので、興味を持たれた人には是非お勧めしたいところ。
ちなみに、5年前の登山直後に公開したブログ記事はこちら。