企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【キャリア】法科大学院不合格からの人生の意外な展開/こんな人生もあるわけで・・・

先日、仕事帰りに書店に立ち寄って購入したのがこちらの一冊で、週末に一気読み。
本書では、いわゆる高学歴と言われる人々が希望するキャリアを形成できない事例が紹介されている。例えば、私が子供の頃は「いい大学に行けばいい人生が送れる」という少し漠然とした考え方がささやかれており、よくわからないうちに受験勉強を行っていた。これが高度成長期ならば、ある意味高学歴が人生の成功を約束していた一面はあっただろう。実際のところ、子供時代には周囲には塾や予備校で通っていた友人は多数存在した。しかし、この10~20年間で日本は長い低成長時代に突入し、一概にその方式が通用しない状況になりつつある。それを裏付けるのが、本書で紹介されている数々のエピソードで、このような本が発売されている事実自体が時代の変化をひしひしと感じる。
 

1.前職で印象的だったマネジャーYさん

本書を読んで久しぶりに思い出した人がいる。その方は前職(プライム上場企業)時代の某事業部の事業部長を務めていたYさん。Yさんは転職組で前職に中途入社された人だが、どうやら学歴はそれほど高くなかったらしい(噂では高卒とか)。しかも、なんでも若かりし時代には暴走族のヘッドをつとめていたという強烈な個性の持ち主。さぞかしリーダーシップを発揮されたことだろう。

 
しかし、Yさんは前職に入社後、メキメキと頭角をあらわし、課長→部長→事業部長と出世コースを爆進する。これは前職が生え抜きや中途入社を区別しない比較的実力主義の社風だったことも要因かもしれない、Yさんはその優れたリーダーシップを生かして、事業部を強力に率いていたと記憶している。私も企業法務担当者としてYさんとは何度か打合せしたことがあるが、すごみと迫力のある方で「人の上に立つ人」というオーラが感じられ、その立ち振る舞いが大変印象的だった。その後、Yさんは事業部長の役職定年と同時に前職を退職し、別会社に転職して関連会社の社長に就任されたと風の噂では聞く。こうして久しぶりにYさんを思い出すと「学歴の高低と仕事やマネジメント能力の優劣はそれほど関連性はない」としみじみと実感。
 
かたや現在、転職した自社において法務部門マネジャーを務める私だが、Yさんのリーダーシップぶりには多少影響を受けている。さすがにYさんと違って私は暴走族のヘッドを務めた経験はないので(そりゃそうだ)、何から何まで完コピしようとは考えていないが、自分なりのリーダーシップを発揮するつもり。
 

2.法科大学院に挑戦した思い出

あと、本書の第2章には、司法試験に不合格となった3人の元法科大学院生のエピソードも収録されている。こちらもかなり個性的で目を引く。
 
①Aさん(40代・女性)
大学生➝キャビンアテンダント➝法科大学院学生➝専業受験生➝主婦
②Bさん(20代・男性)
大学生➝ニート➝法科大学院学生➝会社員(妻の父親が経営する会社に縁故入社)
③Cさん(30代・男性)
大学生➝法科大学院学生➝法律事務所職員➝タクシー運転手

 

この章を読んで、久しぶりに思い出したのが法科大学院の事。本ブログでは、これまで何回か触れているが、私は2004年4月にスタートした法科大学院の初年度入学試験にチャレンジした経験がある。ちょうど2003年冬で、もうかれこれ20年も前の話。
 
  • 2003年春 法科大学院の受験を決意
  • 2003年秋 適性試験を受験
  • 2003年冬 関西圏の某法科大学院(現在は廃校済み)を受験し、不合格(倍率は5~6倍だったような)
 
初年度のため過去問などもなく、対策に苦労したのは懐かしい思い出。しかし、1回目の受験結果は不合格で、翌年に再び受験するつもりで準備。ところが、急転直下、当時交際していた恋人(=現在の妻)と婚約することになり、法科大学院はあきらめて某企業の法務部門に転職する。ここから私の長い企業法務人生がスタートして現在まで至る。

 

私の場合、本書で紹介された3人のように法科大学院にすら入学できなかったある意味落伍者といえるだろう。しかし、今にして思えば、あの時不合格になっていたからこそ、現在の私があるわけで、人生なんて本当にわからないもの。現在の私は法曹資格には特に未練はなく、法務・知財・与信管理などの現在の仕事にやりがいを感じており、これから法務部門のプレイングマネジャーとしていかにキャリアを形成していくかが最大の関心事。

 
しかし、こうして20年という決して長くはない人生を振り返れば、いろいろあったとしかいいようがない。私は、受験断念や転職も含めてその時点その時点で最善の選択肢を選んできたつもりだが、今にして思えば運にも相当恵まれたような気がする。・・・とりあえず、今の私にできることは、日々の努力を怠ることなくベストパフォーマンスを目指すのみ。