企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【社会・経済】コンビニエンスストアのビジネスモデルに潜む罠/私達の生活に最も身近な存在ですが、経営することはなかなかにリスキーです

1.コンビニの頻繁な廃業

最近、地元のコンビニエンスストアの経営者が交代した。珍しいケースかもしれないが、店舗の中身はそのままの状態で、オーナーのみが交代したといういわゆる「居抜き」で、従業員の顔ぶれも一新された。

こうした例に限らず、この4~5年間を振り返ると、自宅や会社の周辺のコンビニが頻繁に廃業している。例えば、

  • ファミリーマート→ローソン100
  • セブンイレブン→ピザ屋
  • ローソン→駐車場
  • サークルK→マッサージ屋
  • ローソン→ラーメン屋

というようにコロコロと変わっている。極めつけは、私の実家付近のコンビニであり、そこはもともと地元の家具屋だったが、20年ほど前にローソンに業種変更した。その後長きにわたり家族総出で経営をしていたが、ついに店をたたみ、なんと今度はたこ焼き屋に変わっている(あまりお客は入っていないようだが・・・)。 読者の皆さんも身の回りでこうした風景はよく目にされているのではないだろうか。私自身も常々「コンビニはなぜよく潰れるのか?」という疑問を抱いていた。もちろん根本的な理由はシンプルで、「その店舗が儲からないから」というのは明らかだろうが・・・。

2.オーナーは「いい気分」になれない?

そんな中、つい先日図書館で業界最大手のセブンイレブンの実態を暴いた書籍を借りてきた。2008年に発売された本書は、発売当初大手取次会社「トーハン」がこの本の配本を拒否したといういわくつきのもの。なぜなら、セブン・イレブン・ジャパンの実質的創業者である鈴木敏文・代表取締役会長兼CEOは、トーハンの取締役副会長も務めていたからという。・・・つまり、セブン・イレブンとしては、世間に暴露されてはヒジョーに困る真実が記されているということ。 

セブン‐イレブンの正体

セブン‐イレブンの正体

 

この本の主なポイントをまとめると、以下のとおり。

・コンビニのビジネスモデルは、店舗経営のリスクをオーナーに押し付けて、本部が一人勝ちを狙うというもの。(その良い例として売れ残った弁当等の廃棄損失などは全てオーナーが負担させられる)
・オーナーは独立事業主であり、仕入事業者から自己リスクで商品を仕入れているが、本部がいったん支払代行を行い、オーナーにその分の支払請求を行う。しかし、本部は仕入事業者の請求書内訳を決して開示しないため、オーナーはどれだけ本部に「ピンハネ」されているか把握できない。
・本部の意向に従わない店舗には、「問題児」として、本部若手社員が24時間体制で監視する。
・配送事業者の労働実態も過酷で、GPSで常に監視され、速度・急ブレーキ回数・移動時間がチェックされている。

よくコンビニの店舗オーナーの勧誘に際して、「本部とオーナー様はファミリーも同然です」「本部社員が責任をもって経営指導を行います」というように、まことしやかに紹介されるらしいが、それはかなり眉唾もので、その実態としてビジネス上のリスクや損失は、全てオーナーにしわ寄せがいくというものである。

まあ、これだけあちらこちらにコンビニが乱立して、同じサービスを提供していれば、お客は分散して消耗戦になってしまう。そもそも、コンビニ経営というビジネスでオーナーが大きく収益をあげることができるならば、本部の役職員が率先してオーナーとして独立することだろう。しかし、そのような例は寡聞にして耳にしたことはない。彼らは、このビジネスモデルがオーナーにとって非常にリスキーであることは百も承知であるからこそ、「搾取する側」にとどまるのだろう。

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ただ、私自身は日々の生活に際して、コンビニには非常にお世話になっているし、なくてはならない存在である。しかし、冒頭にご紹介したような数多の死屍累々の事例が身近にあれば、自分がオーナーとして経営するのは、あまりにもリスキーだと思う。