企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【企業法務】経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」から報告書が公表/法務部門は今後ますます重要視される?

私はFeedlyというアプリで官公庁(法務省、経済産業省、特許庁など)のHPを定期的にチェックしているが、去る4月18日に以下のような報告書が公表されているのを発見した。本報告書では、企業における法務部門の今後の課題とあるべき姿が提言されており、企業法務担当者にとって一読の価値はある内容。 

www.meti.go.jp

 

この報告書によると、 

・ビジネスのグローバル化、IT技術をはじめとするイノベーションの進展やレピュテーションリスクの増大等によって、企業のリーガルリスクはこれまで以上に複雑化・多様化している。

・こうした状況下において、外国企業との競争に勝っていくためには、経営にリーガルの視点が不可欠となっており、リーガルリスクの対応において法務部門が果たす役割が重要となる。

・内外において、ダイナミックなレギュレーションの議論・変化が進んでいる中では、ルールの捉え方や視点を変えることで新しい市場獲得につなげるなど、リーガルリスクを「チャンス」に変えていく戦略的な法務機能の実装が求められる。  

とあり、以下の法務機能の強化がますます求められるだろう、と提言されている。 

①企業のガーディアンとしての「守り」の機能 企業価値を守る観点から、法的リスク管理のために経営や他部門の意思決定に関与して、事業や業務執行の内容に変更を加え、場合によっては意思決定を中止・延期させるなどによって、会社の権利や財産、評判などを守る機能
②ビジネスのパートナーとしての「攻め」の機能 企業価値を最大化する観点から、法的支援を経営や他部門に提供することによっ て、会社の事業や業務執行を適正、円滑、戦略的かつ効率的に実施できるようにする機能 

本報告書では「これからは経営環境の変化に伴って、企業における法務機能はますます重要性を増していく」とまとめられており、いわば経済産業省が法務部門の重要性や存在価値を認める内容となっている。実際のところ、現役企業法務担当者である私自身も法務案件が年々増加し、その内容も高度化&複雑化しつつあることを実感している日々。企業法務という仕事は、単純に契約書をチェックするだけ、と誤解している人は多いが(確かにそういう一面があるのは事実)、社内や社外とのコミュニケーションを通じた利害調整や未知の問題に対する創造性を生かした解決策の立案など非定型的・個別的な仕事もそれなりにあるため、昨今話題であるAIによって全ての仕事が奪われるという事態は考えにくいのでは・・・?とも思っている。

f:id:Sabosan8022:20201102202728p:plain

いずれにせよ、「企業法務担当者の社会的地位の向上に貢献する」という目的をもって本ブログを執筆している私にとって、今回の提言には諸手を挙げて歓迎したい。今回の提言によって企業における法務機能の重要性が再認識され、企業法務担当者として働く人々のモチベーションアップにつながることを切に願いたい。 

戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス

戦略参謀の仕事――プロフェッショナル人材になる79のアドバイス