最近、
TUTAYAのレンタル漫画を利用してこの本をよく借りている。
主人公は、広島の
行政書士事務所に補助者(資格を持たないスタッフ)として勤める青年で、クライアントからの様々な依頼案件に法律知識を生かして全力で解決するというストーリーである。これは、現在でも
講談社の
「週刊モーニング」に連載されている(現在では主人公は有資格者となっており、それに合わせてタイトルも「
特上カバチ!/
カバチタレ2」と変更されている)。法律事務所が舞台ということで、
司法書士事務所の勤務経験がある私も興味深く読んでいる(ちなみに公式サイトによると、原作の田島氏も
司法書士事務所の勤務経験があるようだ)。この漫画では、場面場面における法律論の展開もさることながら、「世の中の仕組み」「社会のあり方」「人間の本性」等が露骨すぎるほど描かれていて、以下の点で他の漫画とは確実に一線を画している。
1.物語が決してハッピーエンドに終わらないことがある。
物語によっては、主人公たちが全力を尽くしても、依頼者が完全に救われないことがある。ここに世の中というものがリアルに描かれていて、正直後味が悪いくらいなのだが、逆にそれが現実味をかもし出すことになっている。
2.登場人物のお金に対する執着心がかなりシャープに描写されている。
依頼者は、零細企業や個人が多く、決して裕福なわけではない。そのため、お金が絡むと親族、友人といえども、暴力沙汰に発展するほどの内輪もめを起こしたりもする。やはり世の中は「お金」なのかな、とまじまじと思わされる。
3.人間というものは、本音は利害に応じてしか動かないということが描かれている。
登場人物に聖人君子はほとんどおらず、すべて自分の利害で動いている。たとえば、警察、検察、裁判所といえども、自らの利害を第一に考え、自分にメリットがあるか、職務上やむをえない状況に追い込まれるまで、積極的に動こうとはしない。このように、人間とは損得勘定で動く生き物であるというこがこれでもかというくらいに描かれていて、正直読んでいる私まで鬱になるくらいである。
しかしながら、本書は、下手なビジネス書、経済書よりも世の中の仕組みが事細かに描かれていて、読み手にはある意味非常にためになる漫画だと思う(個人的には学校の副読本に指定してほしいぐらいである)。従って、私はこの漫画を法務関係者のみならず、すべての人に強く推薦したい。興味をもたれた方は、まんが喫茶やレンタル本を利用するなどして、一読することを是非お勧めする。
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