1.読者層
◆これから
司法書士試験に挑戦しようと考えている方
◆
司法書士の実態(リアル)について興味がある方
2.目次
第1章
司法書士試験に合格するということ
第2章 そもそも、
司法書士とは
第3章 事務所探し
第4章 熱情の春
第5章 注文の多い
依頼人
第6章 秋の出来事
第7章 冬の決断
第8章 愚か者の結論
3.感想
先日、久しぶりに
大阪市立図書館に立ち寄ったのだが、本書のタイトルに興味を持って借りてみた次第。本書は、
司法書士事務所に10年間勤務してやっとのこさ合格を果たし、独立開業にこぎつけた
司法書士の実態を描いた作品である。独立開業をしたはいいものの、仕事を受注することの大変さがこれでもかとばかりに赤裸々に描かれている。「銀行に営業を行っても
けんもほろろに追い返された」「仕事がない時期はバイトをかけもちしたり、昼食を抜いてしてやりくりした」など苦労話が満載で、
司法書士事務所に勤務経験があり、業界の実情を知る私も思わず同情してしまった。従って、
司法書士に何かしら高尚なイメージを抱いている方には、本書はややショッキングな1冊かもしれない。
本ブログにおいても過去に
司法書士事務所の実態についても何度か触れているため、読者の皆さんも「
司法書士とはどのような仕事をしているか」についておぼろげながら把握できていると思う。
http://kigyouhoumu.seesaa.net/article/186774350.html
http://kigyouhoumu.seesaa.net/article/210795142.html
http://kigyouhoumu.seesaa.net/article/176509053.html
http://kigyouhoumu.seesaa.net/article/152100087.html
つまるところ、
司法書士のメイン業務は、不動産登記・商業登記の代理業務であるため、不動産屋・マンション
ディベロッパー・銀行・信用金庫などを特定顧客としてつなぎとめるのが得策なのだが、独立開業したばかりの
司法書士にとって、これらを攻略していくことは一筋縄ではいかない。なぜなら、クライアント
からしてみれば、仕事の質そのものはどの
司法書士に頼んでも全く相違がないため、「どこの馬の骨かわからない
司法書士」より「付き合いの長い気心の知れた
司法書士」に仕事を依頼しようとするためである。
従って、開業
司法書士の最大の難関は「いかにして良質のリピーター顧客をガッチリとつかんでいくか?」ということなのだ。私が過去に務めていた
司法書士事務所は、某不動産会社や信用金庫をクライアントとしていたため、それなりに安定した仕事を受注していたと思う。ただし、
司法書士事務所の仕事の単価自体は安いため、ある程度の数をこなさないと利益は出ないのも現実。当時、事務所の先輩は、「パン屋と同じで数をこなさないと、もうけは出ないんだよ」と言っていたのだが、それを聞いた私も「仮にも法律事務所がパン屋と同じレベルなのかよ…?」とちょっとしたカルチャーショックを受けたものである。
いずれにせよ、
以前の記事において紹介したように、
司法書士試験を勉強されておられる方ならば、合格後のリアルを知るためにも本書を一読することをお勧めしたい。一般的に受験予備校は、
司法書士の実態について、「合格後ただちに独立開業が可能です」「
司法書士は街の法律家です!」「年収1000万円も可能です!!」という広告を行っており、それを見た人は非常にプラスのイメージを抱くことかと思う(過去の私もそうであった)。
http://www.lec-jp.com/shoshi/about/
http://www.w-seminar.co.jp/shisho/shisho_what.html
http://www.itojuku.co.jp/shiken/shihoshoshi/about/charm/index.html
しかし、受験予備校が公開しているこれらの情報は、あくまで事実の「一部」であって、決して「全部」ではない。そして、受験予備校があえてグレーにして明らかにしない箇所について生々しく描いているのが本書である。かくいう私も「受験勉強を開始する前に本書を読んでいたら、違う人生があったかもしれない」と思ったほどである。受験勉強をされている方は、これらについてもある程度理解しておくことをお勧めしたい。
さて、最後になるが、筆者は現在も
司法書士として登録中のようで、ブログも運営されておられるようだ。今後も同氏のご活躍をお祈りしたい。
http://blog.livedoor.jp/engetsudou/
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