企業法務担当者のビジネスキャリア術

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【資格】士業の独立開業に関する一考察/独立開業に際してクリアすべき課題とは

1.私の地元にある行政書士事務所

つい半年ほど前の事だが、自宅から少し離れた場所に行政書士事務所が開所された。私も「おや、このような場所に行政書士事務所とは珍しい。」と思ったものだが、その後も何度かその場所を通ったこともあり、その事務所について、

  • 経営者は30代後半の男性らしいこと
  • スタッフ一名と2人でこじんまりと経営していること

はなんとなく把握できた次第。 そして、つい先日その場所を通ったところ、なんと行政書士事務所は廃業してしまったらしく、その事務所は美容室に変わっていた。どうやら、その行政書士事務所は独立開業後、半年ほどしか営業しなかったようだ。確かに、その場所は幹線道路に面しているものの、市役所や法務局から離れているため、一見客が入りにくそうな感じであり、私も「こんなところに事務所を構えて大丈夫かな?」と思っていたのだが…。

週刊モーニングで連載されている「カバチタレ!」には、行政書士の日常を描いた漫画であるが、おそらく行政書士の方ならば、ほとんどの人が愛読しているかと思う。本作は、行政書士事務所に勤務するスタッフが様々な法律問題を解決していく…という漫画なのだが、やはり現実はそう甘くなく、現在のような不景気の時代に独立開業を行うことは大変なのだなあ、としみじみ感じる。

2.有資格者は2つのカテゴリーに分類される―――独立しているか、そうでないか

私には、司法書士や土地家屋調査士の資格を有する友人・知人が存在しているが、独立開業している者、あくまで事務所に勤務している者など様々である。 例えば、私が過去に勤務した司法書士事務所には、試験合格後、一定期間見習いとして勤務した司法書士が4,5人ほどいた。そのうち、独立開業している者もいるが、さすがに上記において紹介した行政書士事務所のように廃業した者はいない。しかし、いずれもこの不景気の中では決して安泰な経営を行っているわけではなさそうだ。

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不動産登記や商業登記の案件も減少しているし、一昔前に比べて法務局のサービスも格段に良くなっていること、インターネットなどで登記の方法について簡単に調べることができることなどから司法書士に依頼せず、自分で登記申請を行う人も増加している。特に、司法書士にとってオイシイ案件である過払金請求も終息しつつあるのもそれなりに痛いダメージらしい。 一方で、勤務司法書士として、司法書士事務所において勤務している者もいる。彼らは、現在の事務所においてスタッフとして勤務し、経営者から給料を頂戴するという私のようなサラリーマンと同様の立場となる。もちろん、将来的には独立開業も意識しているのだろうが、現在は経験と資金を蓄積しているというところのようである。

3.独立開業に際して必要なモノ

ただ、どの法律資格であろうと、独立開業はそう簡単に行えるものではない。やはり必要なのは、「どれだけ顧客(クライアント)を獲得できるか」につきる。逆に言えば、これさえクリアできれば、経営は順調にいくのだろうが、これが最大のネックでもある。冒頭に挙げた行政書士事務所も顧客を獲得できなかったからこそ、廃業する羽目になったのであろう。 一般的には、独立開業するに際して顧客を獲得する手段としては、以下の二つがあると思われる。

  1. 自ら営業活動を行い、新規顧客を獲得する 
  2. それまで在籍していた事務所から顧客を譲ってもらう。

ただし、2のケースは少なく、大半は自力で営業活動を行い、地道に新規顧客を獲得していくしかない。現在は、HPやブログなどのITツールを使って集客を行う者もいるが、珍しい話を上げると、異業種交流会などに参加して人脈を広げる人物もいる。ただ、こういった場には顧客開拓を狙う保険会社の営業マンが紛れ込んでいるケースも多く、逆に猛烈な勧誘を受けるケースもあるらしい。やはり、営業活動というものはそうそう簡単ではなさそうだ。

 

独立開業ああ本日も仕事なし―新人司法書士円月堂抱腹絶倒奮戦記

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