企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【企業法務】金融法務について(コンプラ法務さんのコメントより)

再度、コンプラ法務さんより詳細なコメントを頂きました。どうもありがとうございました。(*^。^*) 本日の記事はコンプラ法務さんへの回答という形式によりここに公開させて頂きます。従って、いつもの「である調」ではなく「ですます調」とさせて頂きます。
やはり、2~3年の経験は必要ですよね(私もそこまでは時間の有効活用に励むつもりです)。いわゆる大企業のように、法務で何十年と経験を積んでいる人間 によるOJTがないため、司法浪人時代の知識と、新たに読み続ける法務関連本からの知識を我流で吸収し、貪欲に法的業務に首を突っ込み、得た知識を生かし 経験を積んでいくしかないんですよね(そうして1年もすると、法務実務に関して入社当初は新卒同様でも、専門員がいないため法関連業務では上司含め誰よりも頼られるようになりました)。
そのとおりです。転職経験者から言わせて頂きますと、やはり一つの企業において一つの専門分野を3年程度経験しておいたほうがベターでしょう。採用サイドはまずそこを重視します。今の転職市場は極めて冷え込んでいますので、景気の回復に伴う求人増加を待ちつつ、キャリアの蓄積に専念してスキル向上を目指すのが得策だと考えます。また、金融機関に勤務するということも考えようによっては、貴重な経験です。その仕組みなど勉強するとともに将来のための人脈形成をはかるのがよいかもしれません。 コンプラ法務さんは、司法浪人というハンデながらも積極的に自分を売り出すなど、経験蓄積のため能動的に活動しておられます。非常にすばらしいスタンスだと考えます。いい方向でキャリアを築きつつあるのではないでしょうか。その調子で自分を売り込み、社内クライアントを増加させることが自分への自信につながるのではないでしょうか。(今の私にもあてはまるのですが)しかし、まるで前職の私のようで本当によく似ていますよ。
おっしゃるように金融法務は、法規制が網の目のように作られており、細かいことだらけで、法の運用につきあれこれ思考をめぐらすといった作業は不要なんで すよね(だから知識よりも金融機関で培った経験だけが頼りで、上司含め管理職クラスの人はほぼ銀行等の出身です)。法律よりも内閣府令等の細々とした規制 を把握・理解・運用できているかどうか、などが大切です(ただそれも1年に何回も変わったりするのですが)。
金融商品取引法もボリュームが十分でしたが、その下位法令で施行令や政令などがありませんでしたか?日本証券業協会からそれらが1冊にまとまった本が出版されていましたが、厚さが3~4センチぐらいあったと思います。私もあれを読みこむのが本当に苦痛でした。あれは営業現場などを経験しているならばまだしも全く白紙の状態から入社した人物が理解するのは、かなり至難のわざではないでしょうか。いずれにせよ本当にあの法令は、金融機関を縛り付けるための法律です。まあ、過去に当時の現行法の網の目をかいくぐって利益をあげたファンドなども存在したわけであり、これを取り締まるため、法令を徹底的に強化することは、致し方ないことかもしれませんが…。
コンプライアンスについても、対面営業が禁止されたネット系の金融会社のため、社員の業務上の法意識に加え、個人行動にまで踏み込むようなものが多いので すが、そうなるとよっぽど道徳心のない人間でもない限り問題は生じないですし、加えて金融関係出身の方がほとんどのため、そもそもそうした意識が育まれて おり、会社にとってはコンプライアンス意識が高くいいことなのですが、それを推進する担当者としては、やややりがいに欠けてしまうというジレンマがあった りもします。
なるほど。確かに私の前職のコンプライアンス部門が全社員向けのマニュアルを作成していたと思います。以前にも書きましたが、金融商品取引法の施行時に役員以下全社員を集めて、社内セミナーを何回に分けて行っていました。そのような仕事はゴールは無期限であり、しかも「縁の下の力持ち」的になるわけで、確かに十分な達成感というものには、やや不足しているかもしれません。しかし、今の時代コンプラアンスは非常に重要なことであり、法令遵守に力を入れている企業には転職活動時におけるそれなりのアピールポイントとなるかもしれません。
また、はがゆいのは、いわゆる株式法務のようなものについてはIRや総務部署が担当しており、会社法の知識を生かす場面があまりないという点でしょうか (上場会社ではありますが、あまり会社法については細かな知識がなくても、経理知識のあるIR担当者等が顧問税理士や監査法人とやりとりするだけで済んで しまっているようです)…。またまた長文失礼しました。
私の場合も全く同じで、株式法務は総務部門が所管しており、全く経験を積むことはできませんでした。どの会社でもそうなるのでしょうね。私もそのあたりのキャリアは全く白紙です。 そうなりますと、コンプラ法務さんのキャリア形成は、コンプライアンス業務を着実にこなしつつ、契約法務などで経験を積んでいくしかないのでしょうか。私が前職に行った契約審査の内容は、秘密保持契約書・コンサルティング契約書・業務委託契約書・個人情報預託契約書・ソフトウェア開発/使用許諾/保守契約書などでした。売買基本契約書に全くタッチすることはなかったので、転職活動時にはメーカーや商社に対してアピール不足となったことは残念でした。従って、モノの売買がメインであるこれらの企業を目指すのは、うまく立ち回る必要があると思います。コンプラ法務さんの会社はネット営業を行っている金融機関なのでしょうか。そうなりますと、おそらく自社ソフトウェアの導入/更新/保守などに関する契約が発生するのではないでしょうか。それならば、ソフトウェア系の契約書の経験を膨らませてIT企業など(ソフトバンク楽天など)を次の転職先としてねらっていくのもいいかもしれません。ソフトウェア系の契約審査には、以下の書籍が参考になります。 また、経済産業省では情報政策の一環として「情報システム信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」が稼動しており、モデル契約書も公表されています。これについても一読しておくのもいいかもしれません。 以上、sabosanでした。 blogram投票ボタン 1クリックお願いします!