企業法務担当者のビジネスキャリア術

氷河期世代の企業法務担当者がライフログとして日々の出来事を記録しています。2009年に開始したブログは16年目を迎えました。

【企業法務】「企業法務」という仕事のやりがい、楽しみ、大変さ、苦労とは?/tetsuさんへの回答

先日の記事に対してtetsuさんより以下のようなコメントが寄せられた(tetsuさん、コメントどうもありがとうございました)。どうもこの方は私も参加している「日本ブログ村」の「戦うサラリーマン」というカテゴリーランキングに参加されている方のようだ。
初めまして。 製薬会社で営業をやっている者です。 もともと大学時代は文学部出身でしたが、学生時代に法律に興味があり、行政書士の勉強もしていました。今は営業(MR)をしながらビジネス実務法務検定の勉強をしています。営業畑でずっと仕事してますが、せっかく製薬会社に勤めているので、薬事法コンプライアンスに関する業務に携わるという意味で、法務部という部署に興味を持っているところです。 企業の法務に関わる仕事について、やりがい、楽しみ、逆に大変さ、難しさってどんなところであると感じてらっしゃいますか? 差支えなければ教えて頂ければ幸甚に存じます。 宜しくお願いします。
逆に、ブログの良いネタを頂いたので、ブログの記事に取り上げさせて頂きます。ただし、あくまでの私一個人の見解であることをご了承下さい。 1.企業法務の仕事とは 企業法務とは、文字どおり企業がビジネス活動を行うにあたり、発生する様々な法律的な問題を解決していく仕事である。一般的には、その業務としては、①契約書作成・審査、②法律相談、③コンプライアンス、④訴訟対応、⑤債権回収、⑤社内法教育などがあげられる。しかし、会社の業種やそのビジネススキームがBtoB型/BtoC型のいずれかによって、その比率や詳細部分は大きく異なってくると思われる。例えば、私の現職では、①⑤が重要視される一方、Tetsuさんの所属する製薬会社では、①②③などが重要視されるかもしれない。特に、私も薬事法について少しかじったことがあるので、その概要は知っているのだが、医療機器や医薬品を製造・販売するにあたり、③は絶対にクリアしなくてはならないのだ。 ただし、企業法務を所管する法務部門であっても、人事部・経理部・総務部のように社内に対するビジネスサービス部門であることには相違ない。従って、六法全書や法律の専門書などを取り扱うため若干アカデミックな印象を受けるものの、華やかな営業部門や企画部門などに比べて、「縁の下の力持ち」的な地味なスタッフ部門であることには変わりない。 2.企業法務のやりがい、楽しみ 私にとって一番やりがいを感じるのは、社内クライアントから感謝の言葉を言われたときである。「さすがプロフェッショナル!」「いつも助かります!」「頼りにしていますよ」と言われると、この仕事をやって良かったなあ、とよく実感する。また、私の関わった自社定型契約書やコンプライアンスルールが社内に公表されると、「自分がこの会社のルールを作っているのだ」という達成感を味わうこともしばしばである。 3.企業法務の大変さ、難しさ 一方、大変だなあ、と思う点は、常に自分の知識をアップデートする必要があるという点。例えば、現在、民法の「債権法」の改正作業が進んでおり、法律系専門雑誌等を読んで、これらについてフォローするとともに、自社におけるその対応方針(自社定型契約書の改訂や法務マニュアルの改正など)を検討する必要がある。また、国際取引を行っている企業ならば、英文契約書を取り扱うことは避けられないため、英語などの語学力等についても磨きをかける必要がある。 もちろん、スペシャリストである前に、会社に所属するビジネスパーソンである以上、上記専門知識のみならず、ビジネス書なども読んで自分のビジネススキル(ビジネスシンキング・ビジネスライティング・マネジメント等)を磨いていく必要があることは言うまでもない。このように、企業法務担当者は現役である限り、常に勉強し続けなければならないことが、大変といえば、大変かもしれない。 従って、上記より企業法務担当者に求められる要素としては、以下の項目だと考える。
①一定の法律知識およびそれを随時アップデートするため勉強を継続し続ける自己啓発心 ②社内クライアントや顧問弁護士と円滑に意思疎通できる優れたコミュニケーション能力 ③リスク対応文言を明確かつわかりやすく文書化できる優れた文書作成能力 ④外国企業との取引契約書をレビュー・ドラフティングできる一定の英語力
4.tetsuさんへ さて、上記のような回答になるのですが、いかがでしょうか?それはそうと、営業のお仕事をなさりながら、ビジ法のお勉強をなさるのは、とてもすばらしいですね。その意欲はキャリアの前進につながると考えます。もし、貴社に企業法務担当者が存在するならば、気軽に相談するなどして、社内ネットワークを築いておくことをお勧めします。企業法務担当者を味方につけておけばいざというとき頼りになりますので。 また、企業法務、というより法務部門のあり方について興味がおありならば、わかりやすく説明された以下の書籍が発売されていますので、ご一読をお勧めします(立ち読みで十分です)。私もこの書籍に出会って「企業法務」という仕事があることを初めて知り、その結果、人生が変わりましたから。
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