企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【転職】図書館である本と出会って栄枯盛衰に思いをはせる/シャープと三洋電機に落とされた男の述懐

1.図書館にて過去を振り返る

盆休みの期間中は、妻と神戸エヴァ展に行ったり(前回記事)、家族で旅行に出かけたりする一方、一人で本屋や図書館巡りも行っている。そんな中、地元の図書館を訪れた際に借りた本がこちら。 

シャープ「液晶敗戦」の教訓

シャープ「液晶敗戦」の教訓

 
シャープ崩壊 ―名門企業を壊したのは誰か

シャープ崩壊 ―名門企業を壊したのは誰か

 

こちらは2015年と2016年に出版されたもので、シャープの経営不振が顕在化して、世間の注目を浴びた頃の同社の内幕を描いたもの。「経営資源を液晶ディスプレイに集約」→「巨額の設備投資(亀山・堺)」→「外国企業による低価格製品の登場による競争力低下」→「急速に業績悪化」→「リストラの実施」と同社が経営不振に至った経緯が詳細に描かれている。 

記憶にある人は多いと思うが、2010年頃までのシャープは「亀山工場モデル」をブランドとして、液晶テレビ(AQUOS)を積極的に拡販しており、当時はイケイケで同社には本当にすさまじい勢いがあった。しかし、その後、様々な問題が顕在化することになり、2016年に台湾の鴻海精密工業グループに買収されてしまった。このような「結末」は誰もが予想できなかったはずだ。 

2.某大手家電メーカー二社の書類選考に応募

もう今となっては大昔の話だが、実は、私は過去に転職活動を行っていた頃、シャープの法務部門に応募したことがある。しかし、書類選考の結果はあっさりと不合格で、がっかりしたもの。しかし、人生とは本当に不思議なもので、それから月日が流れて、その後の同社の窮状が報道されると、「あの時は不採用で本当に良かった!」と複雑な心境に至る。もし、あの時期に中途半端に採用されていれば、リストラ候補にされていたかもしれない。

ちなみに、当時の私は、同じ時期に三洋電機 法務部の中途採用にも応募したが(大手企業の法務部門は、すでに組織的に完成されており、人材的には充実しているが、企業法務担当者を「良い人がいれば採用する」というスタイルで通年採用している。そこで、とりあえず腕試し的にチャレンジしてみた)、同じく書類選考で不採用に終わる。

しかし、これまた同社は、急激な経営不振に陥った挙句、最終的には同業のパナソニックに経営統合されてしまった。私がこのニュースを耳にしたときは、シャープの時と同じく複雑な気持ちになったことは言うまでもない(例えるならば、意を決して彼女にプロポーズをしたが、断られて破局した数年後に彼女の性格上の大問題が発覚して、結局フラれて良かったことを釈然と悟ったような感じ)。  

3.「人生万事塞翁が馬」を痛感する

いずれにせよ、私にとってこの出来事は、「人生一寸先はどうなるかわからない」ということを痛感させられた。これらの二社に中途入社しなかった(=できなかった)ことは、客観的には今の私には非常にプラスとなっているのだから。

このエピソードが象徴しているように、これだけ不確実性が強い世の中(VUCA)になると、人も会社(組織)も5年後や10年後は一体どうなっているか全く読めない状況となっている。しかしながら、現役世代のビジネスパーソンは、年金支給の関係で、おそらく70~75歳まで働かなければならないのは確実である一方、今後はロボットとAIがビジネスパーソンの仕事を徐々に奪っていくのは確かで、なかなか安心できそうにない。 

思うに、その対応策としては、「世の中のいろいろな方面にアンテナをはりつつ、社会の急速な変化に対応するために己自身を磨き続ける」しかない。本ブログの右側に読書記録(ブクログ)を公開しているように、私にとって、読書とはコストパフォーマンスに優れた自己投資の一つである。

ちなみに、私の親はバブル好景気の恩恵を受けつつ、年金も受給してなんとか「逃げ切り」に成功している。かたや私のように若い世代は、不景気しか経験していない上に、社会負担も重たいという「親世代と比べると明らかに不公平な条件下での人生ゲーム」を強いられている。そして、ゲームである以上、参加者全員に「勝ち負け」は確実に存在するが、不平不満を言っても状況は好転するわけではない。自分や家族のために腹をくくって、「男の器量」を示すしかないと考えている。

4.おまけ

ちなみに図書館で借りた二冊と同じ棚には、この本も置かれていた(もちろん図書館スタッフには特別な意図はなかったと思うが)。

シャープ「AQUOS」ブランド戦略 ?たった8年でオンリーワン企業となった理由

シャープ「AQUOS」ブランド戦略 ?たった8年でオンリーワン企業となった理由

 

こちらは、シャープが絶好調の時期の2010年に出版された本で、同社の「オンリーワン経営」をほめたたえる(=ヨイショしまくる)内容となっている。冒頭で紹介した二冊を読んだ後に本書に目を通すと、そのあまりのギャップが途方もないブラックジョークに思えてくるのは、私だけではないだろう・・。

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