1.とある企業が上場廃止
以前にニュースで取り上げられていたが、オンキヨーホームエンターテイメント株式会社(ジャスダック上場)は、20年3月期に債務超過に陥り、1年が経過しても解消できないため、この7月下旬に上場廃止が決定。そして、事業はシャープらに30億円で売却されることが決まっている。
私は、3月下旬頃に株価が15円(=1,500円)まで下がったタイミングで、記念に1株だけ購入していた。その後、すっかり忘れていたが、6月25日に開催する株主総会招集通知が自宅に到着。内容はHPでも公開されている。
なお、本来ならば、上場企業の株主総会招集通知に記載されるはずのB/SとP/Lがどこにも見当たらず、その本音が垣間見えてなかなか面白い。総会における決議内容は、資本減少や事業譲渡などだが、特に私の目を引いたのが、事業譲渡に至った経緯について触れている箇所。
「・・・しかしながら一方で、現在の当社は、このまま自らの力のみで事業運営を続けていくことはもはや困難となっております。このような状況の中で、本事業譲渡 は、当社がとり得る唯一の方策であると考え、これを選択するに至りました。」(本文より引用)
これは、「もはや万策が尽きたので、白旗を宣言します」ともいえる表現。なかなかここまで書かれている株主総会招集通知を私は今まで目にしたことがない。(以下参照)
また、同社とシャープらとの事業譲渡契約書の契約内容が一部抜粋されており、企業法務担当者である私にとっても勉強(?)になる。
また、これも非常に珍しいが、総会招集通知が同封されていた封筒には「郵送やインターネットで議決権行使をして頂いた株主様に対して薄謝としてQUOカード500円分を贈呈します。」と表記されている。
これには「上場廃止で株式は紙切れになってしまい、株主にはご迷惑をおかけしますが、事業譲渡に賛成して頂くにあたり、ささやかなお礼です」というメッセージが暗にこめられているのだろうか?といっても、私自身は2ケ月ほど前に15円(=1,500円)で株式を購入したにわか株主なのだけれど・・・。
ちなみに、過去10年間のチャートを見ると、2017年頃に最高値で1,400円(=14万円)ぐらいまで株価が上昇した時期もあったようで、この時期に株式を購入した人にとっては、この500円はさほど慰めにはならないかもしれないが。
2.おまけ ~転職活動時の候補企業の一社でした~
実は、以前の記事でも触れたが、私が過去に転職活動した際、人材紹介会社から提供された求人企業のリストにオンキヨーが含まれていた。
万が一、あの時同社に入社していたら、今頃リストラに遭遇していたかもしれず、相当ピンチだったと思う。というのも、今回の招集通知で触れているように、新会社に移籍できるのは一部の社員のみで、決して全員ではないからだ。おそらく、年齢やキャリアなどで選別されるのだろう・・・。
いずれにせよ、こうして、あの当時と今を比べると、企業を取り巻く経営環境の激変ぶりだけではなく、運というキーワードをつくづく実感させられる。