先日、ネットで知ったのだけれど、30年以上前に出版されたファンタジー小説 「ドラゴンランス」が最近になって電子書籍として復刊されたという。
知らない人のために説明すると、原作はアメリカのファンタジー小説で、日本では1987年に富士見書房よりシリーズ第1作「ドラゴンランス戦記」が出版された。その後、2002年になって(当時のハリーポッターやロード・オブ・ザ・リングなどのファンタジー映画の人気を受けてか)アスキーから「ドラゴンランス」というタイトルになって復刊される。本作は、いわゆる「剣と魔法」のファンタジー世界を舞台に、親子数世代にわたる善と悪の勢力の戦いを描いた一大叙事詩だ。 ストーリー構成やキャラクター造形などにおいて非常に完成度が高く、「ロードス島戦記」など国産ファンタジーの小説やゲームにも大きな影響を及ぼしたとされる。
本作の魅力はなんといっても、「泥臭いリアリティに満ちた登場人物」といえるだろう。主要キャラクターは、何かしらのコンプレックスや悩みを抱えており、決して完全無欠の人格者ではない。時には悩み、時には苦しみながらも仲間で協力し、最後にはなんとか目的を達成する。しかし、その過程では裏切りや謀略などが交錯し、主要キャラクターも死亡するなど決して単純な勧善懲悪の「きれいなファンタジー」ではない。
私は学生時代に、富士見書房版の「ドラゴンランス戦記」「ドラゴンランス伝説」まで読破したが、これらの本は全て処分してしまった。それ以降のシリーズ(セカンドジェネレーション・夏の炎の竜・魂の戦争)は5~6年前ぐらいに図書館で借りて最後まで読んだクチだ。ちなみに富士見書房版には、本の左上にはビックリマンチョコのような光るシールが貼られるなど珍しい装丁が特徴的。
その名作「ドラゴンランス」が電子書籍として復刊すると知って、少し驚いた。以前にゲームブックの電子書籍化について触れたように、出版社サイドとしては、かつて子供であった愛読者が大人になって再読することを狙っているのだろうか。
こういった一般受けしにくいコアな出版マーケットでは、電子書籍という媒体はうってつけかもしれない。私としては、夏のボーナス等まとまった収入が手元に入った際に合本版(その内訳は25冊で、値段は40,000円!)を購入するつもり。
さて、大人になって結婚して子供のいる現在の私がこちらの電子書籍版を再読した場合、子供時代に抱いた感想とまた違うもの感じるのだろうか。例えば、ある人物の悩みに「うんうん、人生そういうこともあるさ」と深く共感しているかも・・・。
そういえば、振り返ってみると、私自身は学生時代に様々なファンタジー小説・SF小説・推理小説などを読んでいたが、これがある意味国語力を鍛えることに役立ったのかもしれない。あれから時は流れて企業法務系ビジネスパーソンとなった現在、毎日のように契約書を読み書きしたり、ビジネス文書を作成している。このスキルの土台には学生時代に読んだ「ドラゴンランス」などの様々な小説の読書が反映されているかもしれない。
- 作者: マーガレット・ワイス,トレイシー・ヒックマン,安田均,柘植めぐみ,ティム・ワゴナー,S・D・サリヴァン
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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