企業法務担当者のビジネスキャリア術

転職経験が豊富な企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【企業法務】新人企業法務担当者に贈りたい7つの言葉/私から新人君へのアドバイスです

月日がたつのは本当に早いものでもう4月である。4月といえば新入社員の季節であり、企業の法務部門に配属された新人ビジネスパーソンもおられるかもしれない。そして、それがきっかけで本ブログにたどり着かれた人もいるだろう。そこで、今回は、新人企業法務担当者に向けるアドバイスとして、以下の言葉を贈りたい。どうか参考にしてほしい。 1.向上心を持ち続けて自分自身を磨き続けよう 「一人前の企業法務担当者を育成するには、3年から5年の年数を要する」と称されるように、数ある職種の中でも企業法務は、かなり専門性が強い仕事である。従って、一人前になるためには、OJTを中心として、知識と実務経験をバランスよく積み重ねる必要がある。大手企業クラスとなると、人材育成に関するマニュアルやキャリアプランなどが整備されており、それに従って一歩一歩キャリアアップする余地もあるだろう。しかし、「天は自ら助ける者を助く」という格言があるように、あくまで主体性をもって、「自分で自分を成長させるのだ」という気概と決意をもって自分自身のキャリアを一歩一歩積み重ねてほしい。 【仕事術】ビジネスパーソンにとって勉強することの大切さ/平成大不況を生き残るには自分自身の「刃」を磨き続けるしかない!?: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 2.法律だけではなく、ITと英語のスキルも向上させよう 企業法務担当者にとっての一番の武器は「法律知識」だが、現代ビジネスパーソンならば、他に習得するべき武器がまだある。一つ目はIT。これは何もプログラム言語などといった専門的なものではなく、WordやExcelなどのオフィス系ソフト・Googleなどの検索エンジンEVERNOTEDropboxなどのクラウド系アプリについて勉強して、実務できちんと使えるレベルになることである。私の周囲には、これができる人はまだまだ少ない。二つ目は英語を中心とした語学力だ。グローバル化によっていずれの企業でも海外企業とのビジネスはますます拡大している。従って、企業法務担当者が取り組む国際法務も増加する一方であるため、「ボカア、英語はできません」では一切通用しない。少なくとも英文契約書を読み書きできるレベルになるまで英語に習熟しておきたい。 【仕事観・キャリア論】ITとの付き合い方: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 【情報整理】このITツールは私たちの情報管理のあり方を大きく変えるか?/すべてを記憶する~EVERNOTE: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 3.自社の定型契約書を繰り返して読み込み、完全に理解しよう 自社の定型契約書というものは、先輩たちの血と汗と涙と努力(?)が結集されたノウハウの塊だ。私も何度も経験があるが、定型契約書を一つ制定するにも、資料収集・ドラフトの推敲・上司や関係部門との調整など、非常に手間暇を要する作業の連続である。そして、定型契約書とは、当該取引に関する自社のリスクを回避・軽減するために可能な限り自社優位に、しかし強行法規には抵触しないようにしたたかに定められたいわば一種の「作品」といっても差し支えない。そこで、新人はまず社内イントラネットからダウンロードするなり、先輩からコピーを入手するなりして、自社の定型契約書を全て入手して熟読して理解しておくことをお勧めしたい。もしかしたら遠い将来に自分がその契約書を改訂する機会が訪れるかもしれない。そのためには、日常業務をこなしつつ、「この条項はこうあるべきではないか」「ここはこのように変更した方がもっとよくなるかも…」といった問題意識を常に持ち続けておきたい。 4.コミュニケーション能力を磨きあげよう 企業法務という仕事は、自席においてひたすら六法全書やパソコンにかじりついている、というイメージがあるようだが、決してそうではない。企業法務担当者には、卓越したファシリテーターおよびネゴシエーターであることも求められる。新人時代は、上司や先輩から指示された業務を着実にこなすことが中心となるが、キャリアを積むとやがて他部署との意見のとりまとめや顧問弁護士への相談、契約相手方との契約交渉などのいわゆる法務部門外とのコミュニケーションにも時間を費やすことにもなるだろう。従って、いわゆる「しゃべり上手」であることも求められる。しかし、これだけではなく、①結論+根拠をセットで提示する、②論点(ポイント)をすばやく把握し、相手方と共有する、③相手より必要な量と質の情報を過不足なく入手する、といったスキルも身につける必要がある。 5.ジャンルを問わず様々な本を読もう。それに対する自分自身の考えを持とう これは企業法務担当者に限ったものではなく、ビジネスパーソンならば、誰にもあてはまる言葉だ。すなわち、学生時代までならば、自分が取り組む課題は、親・学校・塾などが提示してくれ、それに取り組むだけでよかった。しかし、社会人となるとそうはいかない。これからは、全てを会社任せにするのではなく、自分で問題を発見し、それを解決する能力を身に着ける必要がある。そうでなければ、現在のような非常に厳しい時代をサバイバルしていくことはできない、と断言したい。そして、そのための方法が、「様々なジャンルの本を数多く読んで、様々な著者の考え方に触れ、それへの賛否を明らかにする」ということ。ただし、全ての本を購入するとなると財政破綻するので、図書館や中古本屋などを活用して、ときには低コストで本を入手するのも意識したい。 【キャリア】図書館の有効活用/お金をかけないスキルアップ: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 【ノウハウ・仕事術】中古本屋の活用によるビジネス書の低コスト取得/意外にお得です : 企業法務担当者のビジネスキャリア術 そして、できれば、読書の記録と感想をメモしておき、繰り返して再読することをお勧めする。その積み重ねが論理的思考を鍛えることにもなるからだ。 【情報整理】「読書ノート」のススメ/ビジネス書を読んで、印象に残った箇所や自分の考えをノートに書き記す : 企業法務担当者のビジネスキャリア術 Twitterでも本の記録を 自分のスタイルで始める「読書ノート」の書き方 - はてなブックマークニュース 6.社内のあちこちを訪問して、自分の顔と名前を売ろう 企業法務担当者にとってクライアントは社内部門であり、様々な法務案件を受注することになる。仕事を依頼する側にとって、「顔の見えない人」よりそうでない人が依頼しやすいことは確か。従って、受任案件の回答時には、できる限り担当者を訪問するなど自分の顔と名前を売る努力を絶えず行いたい。そして、その際には法律一辺倒の冷たい印象を与えることは避けて、できる限り物腰をやわらかく、できればユーモアも織り交ぜて、相手側が受ける印象の敷居を低くするように心がけたい。ただでさえ、「企業法務担当者は頭が固い」「いつもNOとしか言わない」という印象をもたれがちである。従って、そのようなイメージを払拭した上、社内クライアントを増やすことを目指したい。 【企業法務】現場に出向いて実態を把握することが大切/企業法務担当者に求められる姿勢: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 7.社外にも人脈を築いて相互に情報交換を行おう ビジネスパーソンであれば、社内における人間関係が最も重要であるが、一方で社外の人脈も大事にしたいところ。なぜならば、一つの組織にいると、その組織の考え方に染まりがちとなるが、視野を広げるために業種・職種の違うビジネスパーソンとの情報交換を積極的に行いたい。私の場合、複数の転職経験があるため、そのときどきとの同僚などと今でも飲み会を行うなどして情報交換を行っている。これは自分にとってよい刺激であり、ある意味視野を広げることにもつながっているのだ。 【プライベート】企業法務担当者同士の飲み会で旧交を暖める/他業種とのビジネスパーソンとの話はやはり良い刺激になります。: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 【プライベート】前職の先輩法務担当者との再会/今後の仕事やライフプランニングに関していろいろご教示頂きました: 企業法務担当者のビジネスキャリア術 【プライベート】司法書士の友人と一年ぶりの飲み会を行う/大阪の天王寺に来たのもかなり久しぶりで大きく様変わりしていました。 : 企業法務担当者のビジネスキャリア術 私から新人企業法務担当者に対して以上の7つの言葉を贈りたい。そして最後になるが、「マニアックな職種である企業法務ワールドへようこそ。」しかし、マニアックということは、あまりにも専門的過ぎて他人には簡単には真似をすることができない仕事であるということの裏返しでもある。そして、現代日本においてビジネスパーソンが卓越した専門性を身に着けることの必要性は周知の事実であり、何らかの縁によってこの道(=企業法務)に入られたのならば、腹をすえてこの分野を極めつくすことをお勧めしたい。
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