企業法務担当者のビジネスキャリア術

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【書評】「45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本」植田統(日本経済新聞出版社)/企業法務担当者にはおなじみに某出版社の元社長が書き下ろしたビジネス書

人と人との出会いは縁次第と言われるが、本との出会いも同じことがあてはまると思う。こうしている現在も日々新しい本が出版され続けているが、人が一生を通じて読める本はほんの一部に過ぎない。 それだけに、以下の書籍には不思議な縁を感じた1冊である。 

45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本―成功するキャリア30の秘訣

45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本―成功するキャリア30の秘訣

 

1.目次

序章  45歳がキャリアのターニング・ポイント
第1章 45歳になる前に知っておきたいこと
第2章 45歳からでも成功する転職の心得
第3章 45歳からでも間に合う勉強法
第4章 45歳になったら肝に銘じておくこと

2.名フレーズ
・専門性を持ちながら関連する周辺の領域のスキルも高める。
・成功者の経験談より普通の人の失敗談の方がためになる。
・仮説を構築し、検証し、修正する。
・自分の頭で理解できないことは疑え。自分の経験と勘を信じて考え抜く。

3.感想
本書の内容は、40代のビジネスパーソンのキャリアプランについて解説を行った自己啓発本で、地元の図書館で題名だけで無作為に選んだ一冊である。しかし、読み進むにつれて「へえ、こんな偶然もあるもんだなあ」と感じ入ってしまった。 というのは、本書の著者は、企業法務担当者向けの法律雑誌「Business Law Journal」を出版しているレクシスネクシス・ジャパンの元社長だから。本当に偶然ながら、このような予備知識がないまま本書を選んだので、その奇妙な縁に驚いた。

www.businesslaw.jp

というわけで、文中でも筆者がレクシスネクシス・ジャパン在籍時におけるエピドードが以下のとおり簡単に紹介されている。

  • 著者は45歳の時にレクシスネクシスの日本法人の社長として採用された。その職務内容は、法律のデータベースを作って、日本の弁護士、大学、企業に販売していくというもの。そのため、毎日のように大学教授や弁護士に会っていた。
  • 2年ほど費やしてシステムの開発を終えて、ライバル会社に先駆けて日本法データベースをリリースすることができた。
  • 同時に法律関係書籍(Business Law Journalのこと?)の出版も軌道に乗せた。
  • ところが、アメリカ本社から「売上の伸びが悪い」と責任を追及されて、日本法人の社長を退任させられた。続いて企画管理系の職種の人を除き、営業課長や営業課員も次々と職を追われた。

また、文中でも触れているとおり、著者は、大学時代に司法試験の受験経験があったが、その難易度にあきらめて別の道に転進していた。しかし、レクシスネクシス時代に営業で法学部の教授や弁護士に会ううちに、あらためて弁護士になりたいと情熱が蘇り、法科大学院に入学して、見事に新司法試験に合格したという。(現在著者は東京都内で弁護士として活躍されている模様)

なお、レクシスネクシスジャパンに関する記述は、上記のとおりほんのさわりだけで、決して暴露本ではなく、大部分はきちんとしたビジネス書籍なので、誤解のないように・・・。

私は一日で読了したが、40代というビジネスパーソンにとって大切な時期にどのようにキャリアを構築していくかについて、ヒントをもらったような気がする。特に、参考になったのは、第1章の「スペシャリストを目指すな。キャリアの幹を太くしよう」という項目。例えば、スペシャリストといえども「専門性を深めつつ、関連する別の仕事もしていく」というくだりには、うなずかされた次第。今後の自分のキャリア構築に参考にしていきたい。

3.もう1つの偶然
そして、またもや偶然の話だが、なんと昨年11月に別の図書館で同じ著者の以下の書籍を借りていた。 

人生に悔いを残さない 45歳からの仕事術

人生に悔いを残さない 45歳からの仕事術

 

本書も40代のビジネスパーソンに対する自己啓発本であり、今後の自分のキャリアプランニングに対する指南となる良書である。しかし、よくよく考えてみると「自分が(たまに)購読している法律雑誌の元社長が書いたビジネス書を全く気づかないまま2冊連続で読んだ」という偶然に少々驚いている。

これらの二冊は、別に読者層を企業法務担当者に限定しているわけではなく、中堅ビジネスパーソンを対象としている。従って、興味を持たれた方には一読をお勧めしたい。

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