企業法務担当者の仕事というものは社内クライアントからの依頼を受けて正式案件として成立することが多い。そして、その社内クライアントは大きく分けて二つに分類することができる。それは、これまでに何度も私に仕事を依頼しており、気心もしれた「リピーター」と、初めて私に仕事を依頼する「新規クライアント」である。
今や在社年数もそれなりとなった私にとって、クライアントの大半はリピーターだが、最近になって新規クライアントがちらほらと見受けられることが多くなってきた。
好奇心旺盛な私は、新規クライアントから案件を受任した場合、興味半分に「一体どなたから私のことを聞いたんですかね?」と質問してみることがある。すると、おおむね以下のような回答を受けることが多い。
「同僚のAさんが『法律系の相談事はsabosanに聞いた方がいい』と言っていたので・・・」
「上司のB部長から『こういうことはオレじゃなくてsabosanに相談するものだよ』と言われたので・・・」
「ボクもなんかよくわかりませんけど、周囲の人たちはみんなそうしている様子なので・・・」
こういうコメントを聞くと、これまでの私のクライアントが別のクライアントを紹介する、いわば、クチコミが広がってお客さんを連れてきてくれるわけで、企業法務担当者冥利に尽きると言いたい。そういえば、過去に知り合いが「企業法務の仕事では社内にいかに自分のファンを増やすかがポイントだよ」と言っていた。しかし、こういった評判を耳にすると、私のこれまでの地道な活動は決して無駄ではなかった、とも思う。
しかし、そうであればあるほど、今後も様々な相談を受けることが多くなるだろうし、それにうまく対応できるように自分のスキル(専門知識だけではなく、人格的なヒューマンスキルも含む)を向上させる必要がある。従って、現役の企業法務系ビジネスパーソンには、自分に対する投資、すなわち継続学習は絶対に欠かせないのだが、逆にそれこそが「プロフェッショナル」の証のような気がする。